エド・ワイズ
云わずと知れた、ゼロ専属の情報屋であり、彼の親友でもある男である。
ちなみにだが、ゼロには他にも友人は居たがその殆どはレイヴンなのだが、特攻兵器襲来に伴いその大半が戦死。生き残った者もその後の動乱により全員死亡。結果、男のでの友人はエド一人である。
―――一応もう一人いたが、その彼はこの物語の舞台には上がってはこない。
SIDE:エド・ワイズ
薄暗い室内。
その光源は、今オレが使っている小型端末とこの部屋、電算室内に設置されている大型端末のみだ。
今使っているこの小型端末は昔からの愛用品だ。そうだなレイヴン達にとって自分のACが嫁さんや体の一部とするなら、オレにとってこの端末がまさにそうだ。
オレは今までこいつを使いあらゆる仕事をこなしてきた。
そして今現在もこいつを使って仕事している真っ最中だ。
ちなみに今回の仕事は大きく分けて二つ。
一つは現在アメリカにいる難民との交渉。交渉の内容はオレ達レイヴンズネストに加入しないか、だ。
事前の情報や調べたことによると、難民たちは現状にかなり不満を持っているらしく、その理由としては市民権が与えられない事とその市民権を得るためには家族の内誰かが軍などに所属しある一定の功績を得る必要とのこと。これはある意味で人質という形だ。そしてそういった理由で軍に入隊した者達は死に物狂いで頑張る。だがこのアメリカという国では滅多に功績を得るという機会は訪れない。故にそういった連中はどういった所に所属するかと言うとだ、諜報や鉄砲玉、テストパイロットなどのちょっとした使い捨てが必要な部署だ。
自国を取り戻すため、家族を養うため。など等色々と事情を抱えている難民がこの国には沢山いる。
詰まりそういった連中をオレ等が今度は別の甘言を囁きオレ達の方に付かせるという訳だ。
ちなみに何を囁くかというと、『祖国を取り戻したい。人々のために戦いたい。という想いを持っているのなら我々レイヴンズネストに加入し共に戦わないか』というものだ。
これを言われた連中の大半はこの言葉に同調した。
現状への不満と自らの手でBETAと戦える機会を与えられる、更に特定の組織枠に所属しないということはアメリカなんかのためにではなく自分達の為に戦えるというのが効いたようだ。
ちなみに身内が軍などに所属している所には話していない。流石にそういうのに話したら面倒なことになるからな。
ただこれには一つ問題がある。
それは勝手に難民を引き取ったことにより難癖を付けられることだ。
行き成り多数の難民が失踪したら、そら不味いからな。
だからオレはそういった難民の情報を取り扱っている国連軍やアメリカ軍のサーバーにちょちょいっと細工したり、一部の難民に対しての扇動や故意の情報を流したりなどを行い、そういった連中を暴徒へと変え、これに対して相手は軍や特殊な警察組織を送り込む。
無論その所為で少なからず犠牲者が出るが仕方の無いこととして割り切る。まぁ、外道な考えだが、こっちとしては寧ろバンバン出せと言いたいが…な。
んでだ、他の恐怖に煽られ疑心暗鬼になった難民はアメリカという国を更に信じられなくなり、そこをオレ等が引き取ると言う訳だ。
まぁ、穴もあるしあちらさんから文句を言われるだろうが、大衆からの信頼をなくした組織が何を言おうがただの言い訳にしかならず、武力で従わせようなどもっての外だ。
あぁ、ちなみに民間には情報規制されるだろうと思って、国連軍のサーバーを経由して各地にも暴徒鎮圧の映像をばら撒いたりもしたぜ。ちゃんと過剰な脚色付でな。
今頃は色んなところから抗議が殺到してるだろうよ。愉快痛快ってヤツだ。
さて次に二つ目だが、これは今やっている事だが国連本部とアメリカ政府へのハッキングだ。
技術の差ってのもあるが―――というかザルじゃね? アライアンスのクレスト派に仕掛けたら三日三晩は進入するのに苦労するし、ミラージュ派だと専用の機材を使って時間と金を両方掛ける必要があるし、キサラギ派に仕掛けたらAMIDAの♂に襲われたぞ―――比較的簡単にサーバーの中枢部に進入成功した。
まぁオレとしてはこっちの方が心理的にも楽で好きなんだがな。
ちなみに今いる場所はアメリカ軍のカリフォルニア第…何番だっけ? ま、まぁそんな名前の基地に潜入中だ。
というか先からオレは誰に向かって話てんだ?
―――――気にしたら負けです―――――
おぉう天からの声だ。これは所謂(´神`)からのお告げか!
………
……
…
ってオレは何処の電波野郎だ!
変態は、ムラ○モ・ケ○カル○イン・バ○ーナ・キサラギ・アク○ビット・トー○スで十分だ。
「おっと、終わったか」
なんやかんやしている内に目的の事は終わったみたいだな。
データは適当に端末にぶち込んだしウィルスと論理爆弾も仕込んだ。次回進入の為のバックドアのランダム設置も完了だ。更に過去にオレとシーラ、今は此処にいないオレ達の仲間のドクターとで作った特殊なプログラムを入れた。
このプログラムの効果を簡単に言うと“強制介入”と言った所か? まぁこいつについては後々知ることになるさ。
あとは監視カメラの類も全部細工しておいたし問題なしだ。
ちなみに何故この基地かというとだ、ここカリフォルニア基地は、北アメリカ大陸の西海岸地方で一番規模がデカイ基地で、ここには西海岸近辺の基地との中継地点を兼ね―――勿論国連軍の基地もここを通っている―――ここから送られる情報は全てニューヨークの国連本部とアメリカ政府の本拠地ホワイトハウスへ向かう。
「ふぅ~、これで漸く帰れるぜ。あ~でも仕事帰りの一杯と行きたいところだなぁ。アンタどっかいい所知らない?」
オレは何気なく後ろに振り向く、すると何時の間にだろうか中年のおっさんが居た。まるで初めからそこに居たとでもいうほどの存在感だ。
そいつの外見は何処にでもいそうな東洋人の容姿にオレが着ているのよりも上質そうなスーツにトレンチコートを羽織り帽子を被っている。
「そうだな、カリフォルニア州の名物だとピザやメキシコ料理はどうかな? それらを抓みながらビールをキュッと飲み干す。うむ実に素晴らしい」
「へぇ、そいつは良いことを聞いたぜ。サンキューおっさん」
さてどうしよっか、まあ無難に。
「初めまして」
「これはこれはご丁寧にすまない。私の方も」
取りあえず先ずは互いに社会人としてそして初対面の為、社交辞令的に名刺交換をする。
え~と何々、『日本帝国貿易商第二課課長』ねぇ。で名前は『鎧 左近』。
……んと、何て読むんだ?
和語はあんま好きじゃないんだよな。まぁその分暗号としては使えんことも無いけどさ。
でだ、このおっさんの名前はヨロイという苗字は分かったが下の名前が分かんねぇな。
取りあえず、ヨロイのおっさん(仮称)でいいか。
そして向こうもオレの名刺を読みながらふむふむと頷いている。
「そんで、日本帝国情報省二課課長のヨロイさんは何の御用かな?」
ヨロイのおっさん(仮称)は顔を上げ名刺を懐に仕舞いながらオレの方に注意の視線を向ける。
はっ。最初から分かってんだよ。帝国の諜報機関のおっさんよ。
「なに巷で話題の鴉を一目見に来ただけだ」
「悪いがオレをあんなバケモン共と一緒にしないでくれ。オレはしがない情報屋だ。アイツ等とつるんでいるのは報酬が高いのと個人的な知的好奇心を満たせるからだ。―――まぁダチの為ってのもあるが」
さてどうしようかっと考え込もうとした直後。
急に喧しい音、つまり警報が響く。
ビー!ビー! とクソ喧しい警報が基地中に響き流石のオレも焦る。
「ヤベッ! まさかミスったか!?」
「そういえば此処に来る途中に煙草の吸殻を見つけたな。しかもその吸殻はあろう事か火が消えていなかった。まったく煙草の不始末とはいけないな」
軽くパニくるオレの様子を滑稽そうに見ていたヨロイの(略)が飄々と答えてきやがった。
つまりこの親父はどっかで小火を起こしたって事か。
殴っていいか? ってそんなことよりもとっととずらからねぇと。
「ふむ、こういうときにとる行動をなんと言うか知ってるかね? 『三十六計…」
「『逃げるに如かず』だろ。言われなくてもスタコラサッサだぜい」
急いで大切な道具を仕舞い、普通は大の大人が入れないようなクソ狭い吸気ダクト内に関節を強引に外したりしながら滅茶苦茶な体制で入り込む。
後ろには何故かヨロ(略)が付いてきている。気になるが、気にせず進む。
ある程度進み、頭の中にある基地の見取り図を思い出し目的の場所に辿り着いたのを確認するとダクトから華麗に飛び降りる。
先まで居た部屋は電算室―――室内には勿論人が何人も居たが監視カメラを細工し気づかれない様に全員グッスリと眠らせておいた。更に手には厚手の特殊なグローブを付けているのでまぁばれることは無い―――で、今辿り着いた場所はこの基地の隅っこでまず人が来る可能性は低い。
が、ここに来るまで時間を掛けすぎたのか巡回のために複数の兵士が近づいてきている気配を感じ取る。
「さて、ここからどうするのかね? まさか実力行使を行うなどとは言うまい。暴力沙汰は好ましいものではない、穏便に済んだらどれだけ良いだろうか」
「分かってんよ。オレだって痛いのは嫌だぜ、ドンパチなら他のヤツがやってくれりゃあいいんだ」
そう言ってオレは潜入に欠かせない秘密兵器を出す。
「ではどうやり過ごす………なんだねこれは?」
「見て分かんないのか? ダンボールだよダ ン ボ ー ル」
オレとおっさんの二人は、オレが取り出したダンボールを組み立て、それに隠れる。
バタバタと慌しい靴音を響き聴かせながらおよそ4、5人位の武装した兵士が見回りに現れる。
そいつ等は周囲を念入りに見回した後次の場所へと向かう。
「ふぅ、行ったか」
オレは被っていたダンボールを除け再び丁寧に畳む。
「まさか本当にこれでやり過ごせるとわ……新しい発見だ」
おっさんの方もダンボールから出て感慨深そうに呟く。
だがここでこのおっさんはやってはいけない事をしでかした!
「テメ! おっさん、なにダンボールを抛り捨ててんだよ!」
「あぁ、すまない。君の持ち物だったな」
「それもある! だが、オレはダンボールを大切に扱わないヤツは大嫌いなんだ! いいか、某伝説の傭兵の蛇はこう言った! 『ダンボールは敵の目を欺く最高の偽装といえる。潜入任務の必需品だ。ダンボールに命を救われたという工作員は古来より数知れない。ダンボールをいかに使いこなすかが任務の成否を決定すると言っても過言ではないだろう。ただし、いかにダンボール箱といえど素材は紙だ。手荒い扱いをするとすぐ駄目になる。ダンボール箱は大事に使え。丁寧に扱えばダンボール箱もお前に応えてくれる。真心をこめて使うんだ。必要なのはダンボール箱に対する愛情。粗略な扱いは許さん』っとな。かく言うオレも幾度となくダンボールに命を救われた程だ。おっさんも諜報機関の人間なら覚えときな!」
「う、うむ。覚えておこう」
オレの素晴らしい熱弁を聞いてどうやらおっさんは分かってくれたらしい。嬉しい限りだ。
ヤッパ、ス○ークは偉大だな。
「よし! じゃな、おっさん! オレはここいらで失敬させてもらうぜ」
おっさんに背を向け、基地から出ようとするオレは片手をひらひらと振りながら走り出そうとする。
が、一つ言いたいことがあったので立ち止まり顔をおっさんの方に向け告げる。
「あぁ、それと今度オレ等の内誰かがアンタ等の本拠地にお邪魔すると思うから、しっかり持て成してくれ」
「ふぅ。―――分かった、楽しみにしているよ。ちゃんとお茶菓子も用意して待ってるよ」
「お茶菓子だけ用意しとくなよ。ちゃんとお茶も用意しとけよ! まっ、オレも行くかどうかは知らんけどな」
ちゃんとおっさんに釘を刺し、今度こそ走り出す。
「やれやれ、変わった男だ」
後ろでおっさんのぼやきらしきものが聞こえたが無視する。というかおっさんみたいなヤツにだけは言われたかねぇよ。
基地の正面ゲートへと近づき軍用車に隠れながら辺りを観察する。
ゲートには大体歩兵一個小隊程が警戒しており、正面突破は不可能。
しかし策が無いわけではない。取りあえずオレは徐にスラックスのポケットに手を突っ込みあるものを取り出す。
それはここの倉庫から拝借した手榴弾で、それを手の上で遊ばせながら左腕に巻いている腕時計のタイマーを確認。
そのタイマーが0:00になった直後。
ずうぅん!!ズドーン!!という巨大な振動と音が基地を襲った。
そうオレが仕掛けたモノが基地の一部を吹っ飛ばしたのだ。ちなみにその爆発物もこの基地から拝借したもので、設置場所は、兵士や戦車兵用の武器庫と戦術機用の燃料タンクに繋がっているパイプ。あと、厨房と便所、シャワールームに仕掛けといた。
これら全てを仕掛けるのに丸一日掛かったが、まぁ面白かったし電算室でハックする方が楽だったからな。ちょっとしたお遊びさ。
さて基地の襲撃により忽ち辺りは騒がしくなり、ゲートにいたヤツ等も浮き足立つ。
オレは即座に飛び出し手に持っている手榴弾を投げる。更にもう2個取り出し投げる。
今度は至近距離で爆音が響く、そして数拍置いてもう一個の手榴弾:スタングレネードが爆発し、続けざまに今度はスモークタイプのヤツが爆発する。相手は混乱し錯乱したのか、大多数が手に持っている自動小銃を乱射し始めた。
オレは流れ弾に被弾しないように身を低く沈めながら走る。時々「うっ!」とか「ぐあぁぁ!」なんて叫びが聞こえるが恐らく流れ弾が味方に誤射ったんだろう。
さてオレが向かう先は、ゲートの守衛室の傍に停車してあるバイク。
が、そんなオレの目の前に一人バカが現れやがった。
「!?」
「チッ」
バカはオレの存在に気づく、だがこのバカはここでやってはいけない事を仕出かした。
それは咄嗟にオレを撃つか仲間を呼ぶかどうかを迷ったのだ。そして撃つと決め引き金を引くが無情にも銃口からは弾が出ず、ただ虚しくカチカチと引き金が引かれる音がするだけだ。そこで漸く弾切れしたのを理解したバカは自動小銃を手放し腰のホルスターに手を伸ばし拳銃を抜こうとする。
しかしまぁ。
「遅いんだよ。ヒヨッコが」
オレは、バカ改めヒヨッコの顔を掴む。丁度アイアンクローやゴッ○フィ○ガーの要領だな。
「痺れな」
その言葉と同時にバチッ! とスタンガンなどを押し当てたような音が辺りに響く。
オレが今はめている手袋は特別製で、指から掌部分が強烈なスタンガン機能を持っていて、帯電性が低いガードメカやMTなら機能低下にすることも可能なほどの物で、数年前にブラックマーケットで見つけた物だ。そして発動方法は一定以上の温度を持った物体に手袋を思いっ切り押し付けることで放電し、下手に力を入れて握手とかしたら間違って感電させてしまうことも有り得ちまう。ちなみにお値段は両手セットで50c―――ホントは80cだったけど値切りに値切らした―――だった。
でまあそんな強烈な電流を顔面から浴びせられたヒヨッコは顔中からヤバイモン噴出させながらぶっ倒れる。そしてオレは倒れる直前ヒヨッコからナイフを引き抜き、そいつの心臓に突き刺す。更に倒れた時に拳銃とマガジンを二つ奪い取り、スラックスと腹の間に挟む。そして今度は自動小銃を奪いマガジンを交換する。
立ち上がった直後には煙も大分晴れており視界も問題ない。更に相手は当初の一個小隊規模から友軍誤射やらでその大半が負傷及び死傷。
で、結論。
「はぁ、こいつら全員ヒヨッコだな。この国どうなってんだよ」
そうオレはぼやきながら自動小銃を構え引き金を引く。
銃口から飛び出す弾丸は主に相手の頭部周辺を狙って撃つ。そして弾が切れると今度は拳銃で残ったのをヘッドショットで仕留める。
最後の一人を片付け、まだ弾倉に弾が残っているマガジンを捨て、傍の死体からマガジンを拝借する。
そしてバイクに近づき鍵をぶっ壊し、バッテリーやエンジン部分をちょちょいと弄る。
するとバイクは喧しいエンジン音と排気音を鳴らす。
「おしっ! ヤッパしバイクや車なんかの構造はオレ等んところと大して変わらんな」
オレはバイクに跨りアクセル全開で走らせる。
「へッ! じゃ、あばよ!! 今度からもうちっと実戦というものを学ぶんだな!! ヒャッハァーッ!!!」
そうカッコいい捨て台詞を残しながらオレは走り去り、香月夕呼が用意した。難民輸送用のタンカーとの合流地点に向かう。
後書き
第三章外伝その2終了。
今回はエドの話。そして鎧課長との邂逅。今回は小ネタ大目だよ。
しかし何故自分が書くエドはこんなギャグキャラになるのだろうか?(笑)
まぁエドは所謂、主人公の悪友的なポジションだから致し方ない。うん。あと鎧課長、口調が難しいよ。
しかし自分で書いておきながら今回の話もそうだが、なんか無茶というか無理やりな展開が多いな。
一応言っときますが、別に自分は米軍は嫌いじゃないです。ただ一番レイヴン達の生贄にしやすいのが彼等なんです。
取りあえず皆、ダンボール箱は大切にな!(ぁ
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