新たな任務を受けたゼロとアクセルの二人は早速、輸送機に愛機と共に乗り込み現地に向かう。
「ゼロォっ、お前の機体の方はどうだ?」
アクセルの大声を聞いたゼロは自機の状態が映し出されている端末から目を離す。
「アクセル。ああ、問題無い。俺のJファー・カスタムのHM時のスペックは殆どがプラス補償されていて、いざという時には有り難い。流石はJファー・カスタムだ、クセが無い。アクセルのJグラップラーはどうなんだ?」
「オレのJグラップラーは防御が微妙に減少していやがる。だが、それ以外の攻撃力とか数値は概ね上昇してる。まあ、格闘戦向けの機体だからな、やられたら倍以上にやりかえせってとこだな」
ゼロは「そうか」と呟き、入念に新システムで変わった自機の状態を確認する。アクセルはその横でいびきを掻きながら寝る。
なんともちぐはぐな二人である。
「ようっ! お前等が今回の任務の俺様の手伝いをしてくれんのかい!」
夜中だというのに行き成りハイテンションでそんなことをかまして来たのは、先程立ち寄った基地でこちらに合流したセシリアが言っていた暗部№Ⅸ。
そんな№Ⅸの挨拶にアクセルは微妙にこめかみに青筋を浮かべる。
「随分な挨拶だなぁ、お前」
「アクセル」
ゼロに言われアクセルはとりあえず怒りを静める。
「そんで、お前さん名前は?」
「ん? ああ、そういやぁ始めに言ってなかったな。―――ふっふっふっふ、よく聞けッ! この俺様がアルサレア随一の水中戦のスペシャリスト! デニス・フィッシャー少尉だ!!」
何故か無駄に格好をつけ、歯をキラリと光らすこの男、デニス・フィッシャー少尉。そんな彼への反応は、
「……こいつ…馬鹿だろ」
「ああ、救いようの無い阿呆だな。というか今、思いっ切りこいつを殴りたいと思ったんだが」
なにげにゼロが一番酷い。
だがゼロ達のそんな反応は軽やかに無視して目の前の馬鹿?は更に捲くし立てる。
「そんで! お前達の名前は!」
「なんでこいつはこんな夜中なのにテンションがハイなんだ? ――――はあ、あ~~俺はアクセル。アクセル・グレイス中尉だ。お前よりは階級が一個上だからな」
「おう! 宜しくぅアクセル!」
「もおぉええわ」
投げやりなアクセルを無視しデニスはゼロの方を向く。
「そんで、お前は!」
「ゼロだ。ゼロ・エグジス…准尉」
ゼロの名前を聞いたデニスは急に目を細める。
「へえ~、お前が噂のルーキーか」
デニスのそんな反応にアクセルが疑問に思う。
「なんだ? お前、こいつのことを知ってるのか?」
「ああ、知ってる。と言うかアンタも知ってるよ、“紅蓮のアクセル”」
デニスの言葉にぴくっと反応するアクセル。そんなアクセルの反応を見てデニスはカラカラと笑う。
「そんな気にしなさんな、何故自分達のような隠密部隊が噂になってるのか、それは単に人の口に戸は立てれないだけではなく別の理由としてラボの方に問題があるんだな~これが」
それを聞いたアクセルとゼロは成る程と唸る。ラボのような場所には多くの研究者や軍の人間が集まる。自分達暗部は試作パーツを使用しての実戦データをよく取らされることがある。つまりはその時の研究者が別の者に話し、それが連鎖的に発生していき仕舞いには妙な噂などが尾ひれついて広まる。こういうことなのだろう。
「俺は水中戦を得意とするからな、よくラボには世話になる。その関係でアンタ等のことも話に聞くってこと。得にルーキー!」
行き成りの指名にゼロは少し困惑する。
「お、俺?」
「お前さんは今なにかと話題の中心だぜ。わおっ、話題の人物に会えて俺様ちょ~感げ…!?」
「黙れ」
ゼロの低い声音と共に音も無くデニスの首には刀の切っ先が向けられる。流石にこの男の声をこれ以上聞きたくないとの判断する。
「よく喋るな。それ以上口を開いてみろ、その時はお前のそのよく喋る元となる声帯を…斬る」
「ひゅ~♪ おっかねえぇ。まあ、でも悪かったって、謝るからこの物騒なの退けてくんない?」
暫しゼロはデニスを睨んだ後、ゼロは刀を鞘に納める。そしてゼロはそのまま自機のほうに歩いていく。
「くっは~~、あ~!! 死ぬかと思った!」
「ハッタリかよ!!」
行き成りの豹変に先まで傍観していたアクセルは突っ込む。
「いや~、今のは本気で危なかった。だがまあ、やっぱ匂うな、アイツ」
デニスのその言葉に一応友人であるアクセルは弁護する。
「まあ、確かにちょっと変わったヤツではあるけど悪いヤツじゃないぜ?」
デニスは「ふむ」と手を顎に添える。と、そこに輸送機の機長から通信が入る。内容はそろそろ作戦地点に到達するとの事。
「ほんじゃまぁ、ショウタイムと行きますか」
『今回の作戦は、№Ⅸが先行し奇襲を仕掛けます。その後№Ⅶと№ⅩⅢは輸送機より発進してください。但し発進地点は敵施設より若干離れたところで行います。二人はカタパルトにより一気に強襲して貰います」
『『「了解/りょうか~い」』』
『それでは、ミッションスタート!』
セシリアの作戦開始の合図と共にデニスの専用機、水中戦用にカスタマイズされた機体が輸送機より飛び出し、海中に沈む。
「さあ、遊ぼうぜッ、ヴァリムの皆さ~ん!」
デニスのカスタム機は猛スピードでヴァリムの海上資源施設に向かう。そして敵が行動する前に施設のハンガーに向かって右手に持つPF用の槍の一つ、インパルススピアを投げる。
「HIT!」
インパルススピアは停泊していたタンカーに刺さり爆発する。それはハンガードッグ内で連鎖的な爆発を生み、敵の戦力と士気は一気に低下する。そしてスピアを回収したデニスは不適に笑い。
「さあ、いらっしゃいな! ヴァリムの雑魚共ッ」
『アイツ、見かけによらずやるじゃねえか』
アクセルの言葉を聞き、ゼロは少し不機嫌な顔をする。それを見たアクセルは苦笑しながら『じゃあお先に!』と言って一足先に敵施設に向かって、アクセルのJグラップラーはカタパルトから発進し猛進して行く。
ゼロもそれを確認して、今回のために特別に輸送機に設置されたカタパルトに自機を固定する。
「詰まらん雑念は捨て、今を乗り切る。俺の目的の為にも―――――ゼロ・エグジス、Jファー・カスタムッ発進する!」
ゼロは輸送機パイロットに発進を告げ、そのまま、フットペダルを思いっ切り踏み。スロットレバーを前に押し出す。ゼロの動作に呼応するようにJファー・カスタムはカタパルトから往き良いよく飛び出す。
そして敵施設に着いた頃にはもう既に戦闘は始まっており、施設は炎の海に包まれていた。
『遅えぞ! ゼロ! もうオレだけで始めちまったじゃねえかッ』
「だがまだ残ってるんだろ」
『おうよ!』
ゼロはそれを聞いて不適に静かに笑いながら目の前に現れたヌエをショットライフルで撃ち抜く。
『お二人さ~ん、こっちの敵はもうそろそろ終っちゃうよ~、速くそっちも終らしてよね~』
『キメエ声で喋んなッ! 胸糞わりいっ』
「はあ、アクセル、とっとと終らせよう」
『だな』
その言葉通り二人は速かった。目の前の敵を、ゼロはショットライフルで的確に撃ち抜き、レーザーソードで斬り捨てる。アクセルは高熱照明弾とミドルフレアで爆撃を行い相手に攻める隙を与えず、接近し手に持つバスターソードで敵を確実に葬り去る。
『さて、後は』
「アクセル!」
『とぉっ!』
ゼロの声と共にアクセルの機体はアラームを発し、アクセルは相手の攻撃に反応する。そしてその攻撃を手に持つバスターソードを盾代わりに使い敵の攻撃を防ぐ。
『クソ、アルサレアめがッ、よくもやってくれたなァー!』
二人の前に現れたのは二機のPF。一機はヴァリムの指揮官機として、またはヴァリムのエースパイロット【黒夜叉】の異名をもつ“グリュウ・アインソード”の乗機としても名高い“ヤシャ”と、もう一機は最近ヴァリムで試作量産化された“タルカス”と呼ばれる重機動PF。
『どうやらここの防衛部隊の隊長さん達かな』
「だな」
そこにデニスからに通信が入る。
『お二人さん。こっちにも出てきたぜ、今までの古い水中用の戦闘艇じゃなくて、敵さんの水中用のPFが3機。お二人さん、俺様はコイツ等を倒したらマインドラムを仕掛けて離脱するから後は宜しくッ!』
『あいよ!』
「了解」
『ゼロッ、お前はヤシャを相手にしろ! オレはこの硬そうなヤツを相手にする』
「分かった」
アクセルはタルカスの方に攻撃を仕掛ける。
ゼロは目の前にいるヤシャを睨む。対してヤシャは右手にカタナを構えたまま攻めてこない。どうやらただの一般兵ではなくそれなりに腕がある人物のようだ。
「行くぞ」
『来い』
短い言葉の応答。だがそれでいいとゼロは思う。
ゼロはヤシャに接近する。その両手にはレーザーソード、それを見たヤシャのパイロットはあえて左手のサブマシンガンを捨て、カタナを正眼に構える。
『参る』
相手の声と共にヤシャは上段に斬りかかって来る。ゼロはそれをバツの字に構えて受け止める。だがそこでゼロはレーザーソードのレーザーを切る。受け止めるものが無くなったヤシャは体勢を崩し、ゼロはその状態を見逃さず敵を両断する。
「剣術がそっちだけのお家芸だと思うなよ……元より俺に苦手な距離は無い」
崩れ落ちる相手を見つめゼロは呟く。そしてゼロは機体を施設上空に飛び上がらせる。
対して此方、タルカスに仕掛けるアクセルは思った以上に苦戦していた。
「硬えぇなチクショウ」
『どうしたアルサレア! そんなちゃちな攻撃じゃこのタルカスは傷付けられんぞおォッ! ヌグッ、小癪な』
Jグラップラーが放つミドルフレアを受けてもタルカスは姿勢を崩すだけだがそれ以上は望めない。アクセルは悩む。
「こりゃあCBでも決めて倒した方が楽だなぁあっと」
喋ってる間にもタルカスの攻撃は続く。右手に持つクラブという古き前時代的な武器を振りかぶりながらアクセルを追い込む、勿論アクセルはそれをかわすが離れた途端今度はバズーカの砲弾が飛んでくる。
「ちぃ、うざってえぇ! しゃあねえから本気で行くぞオォ、ハイパァァァァモォォォォォド発動ぉぉ!!」
『馬鹿なHMシステムだとぉ!』
ハイパーモードを発動したJグラップラーはその機体色と同じく機体が赤い光を放つ。そしてアクセルがハイパーモードを発動したのを見てヴァリム兵は驚くが直に立て直す。
『だがそれがどうした! そっちがそう来るならこっちもハイパーモォォォド発動ッ!』
アクセルと同じようにタルカスもハイパーモードを発動する。
(狙うは関節の接合部!)
アクセルはハイパーモードで上がった機体速度を持ってタルカスに高速で接近し右腕と胴体の接合部を狙いバスターソードを振るう。タルカスもクラブを持つ右腕を振りかぶる。しかしリーチの差によりタルカスのクラブは届かずアクセルに右腕を斬り落される。
『なんとぉぉっ!!』
「貰ったぜ!」
そう言ってアクセルはバスターソードを今度は水平に振りかぶる。タルカスはこれを避けようと下がろうとするが間に合わず、そこにフルスイングで振られたバスターソードはタルカスの胴体と脚部の接合部を見事に斬る。そこでハイパーモードは終了しJグラップラーは膝を着き暫く行動不能となる。
「ふう、どうにかなったな、さてと、ゼロー回収頼むわ」
『まったく、お前は…今、行く』
「しかしハイパーモードか、悪くない」
アクセルはコクピット内でグッと背伸びをしながら一人ごちる。
デニスも間も無く決着がつく頃だった。
「はっはー、遅いぜぇッヴァリムー!」
『チクショー、追い切れん!』
『隊長ッ、うああァァァァッー!』
「だから遅いって」
そう言ってデニスはヴァリムの水中用に改良されたヌエからスピアを引き抜く。
「それじゃあ、お仕舞いにしよっかー!」
『近づくんじゃねえーーー』
「無理無理」
デニスはそのまま敵機の周りを回りながら相手を振り回す。そして頃合を見てデニスはわざわざコクピットとジェネレータを避けて胴体にスピアを刺し、そのまま相手を施設の支柱に串刺しにする。
『ギャッ!』
「ぷっ。ギャッ。だってよ、大の大人がおっもしれー。ほんじゃまあ、ばーいばい」
相手を一頻り馬鹿にした後、相手に死を宣告する。
デニスは施設周辺、特に施設を支える支柱の周りを移動しまくる。デニスが通った後には緑色に光る物体が浮かんでいた。それの名は【マインドラム】と呼ばれるものでPFが手に装備するフローティングマインという武器を肩用に大型高火力に改良したものである。
「そんじゃー派手に行こうかッ!」
そう言ってデニスは一通り施設から離れ、一つのマインドラムに向けて右肩に装備するエキスプロードウェーブを放つ。エキスプロードウェーブは電波系兵器と呼ばれるもので主にミサイル等の誘導系の兵器に使われる。このエキスプロードウェーブはリング状の電波を放ちそれを通過した誘導系の兵器は信管を狂わされ勝手に自爆するという兵器である。だがデニスの使いかたは本来の使い方ではない。本来は自分が放った兵器には適用されないがデニスはあえて自分が放ったマインドラムが自爆するように設定している。
「上のお二人さーん、そっちはー?」
『こっちも今からメギドを撃ち込むから巻き込まれるなよ』
「大丈夫だって、それにこっちの花火はもう上がったよ~」
デニスの台詞通りエキスプロードウェーブの電波はマインドラムに接触し爆発する。その爆発は辺りに散りばめられた他のマインドラムを巻き込んで連鎖的な爆発を引き起こす。当然その爆発にヌエのパイロットは巻き込まれその命を散らす。
『大丈夫だって、それにこっちの花火はもう上がったよ~』
アクセルのJグラップラーをJファー・カスタムの左手で支えるゼロはそんな言葉を聞き、急ぎ施設に向かってゼロはメギドを放つ。それはロックオンもせずにただ砲門を施設に向けただけの行動だがそれを阻む者はもう誰も居ない。
程なくしてメギドは施設に着弾し爆発する。いつも通りその爆発は施設全体を飲み込む、更に今回はデニスのマインドラムが海中で連鎖的に爆発し施設は原型を留めない状態で海中に沈んでいく。
「取り合えずこれで任務完了か」
『だな、それともう離していいぜ、ゼロ。ジェネレータはもう回復した』
それを聞いたゼロはJグラップラーを離す。そこに今度はデニスから通信が入る。
『うお~い、悪いけど俺様を回収してくんない』
海面を見るとデニスの機体が浮かんでいた。ゼロはデニスを回収しアクセルはセシリアに任務完了報告をいれる。
『姐さん、MISSON COMPLETEしましたぜ』
『了解しました。三人とも帰還してください』
『『「了解」』』
『さ~て、基地に戻ったら呑むか』
『お、それ俺様も混ぜてくんね』
『おお、いいぜ。潰れるまで呑もうじゃねえか』
「悪いが俺はパス。戻ったらシャワー浴びて寝る」
『『かーー付き合いわりぃなっ!』』
「息ピッタリだなお前等」
輸送機へと帰還するそんな三人を昇ってきた朝日が優しく包む。
後書き
チャプターⅠ-ⅤB終了
な、何故こんなにも長くなってしまったんだ(汗)
本来はもっと短くしようとしたんですけど書きたいことを目一杯書いたらこんなことになりました。疲れたよパトry
次回は宇宙に行きます。そしてもう少し考えて文章量を書きます。
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