欧州の戦乙女

 

 

突如上空から放たれた光線種のレーザー攻撃、それはまるで神が愚かな人間に裁きを下す断罪の雷(イカヅチ)の如く。そしてそれを受けた人類は混乱し逃げ惑いその身に絶望という負の面しか現れない。

だが、何時の時代にも神に抗い反旗を翻す者達がいる。

『皆大丈夫!?』

「ちっ、行き成りやってくれる」

『全機ダメージは?』

『『『『『『「問題なし」』』』』』』

『なら反撃と行こうか、どちらが空を翔る者に相応しいか教えようじゃないか』

『『『『『『「了解!」』』』』』』

『レイヴンに対抗して空を飛んだかどうか知らんがその判断は間違いだったなBETA』

 

「クッ、CP状況を報告しろ!」

機体の体勢を立て直した草薙は怒鳴るようにCP――涼宮遙――に問う。

『此方CP、損害報告知らせる。フェニックス隊、08、10大破、11は右腕部破損頭部損傷、06は左跳躍ユニット損傷。ヴァルキリー隊、03、05大破、02脚部破損中破』

「クッソ、最悪だな! ヴァルキリー01そっちはッ!」

『ヴァルキリー01問題なし。アーマード・コアの性能に助けられました』

「損傷したヤツは直に後方に下がれッ! なんとしても生き残るぞ!!」

『了解!!』

 

『どれだけやられたバルナ?』

アーロン中佐は己の右腕たる副官のバルナール・クリストフ中尉に問う。

ちなみにバルナとは彼の愛称である。

閑話休題

問われたバルナールは直にレーダを見る。

「凡そ五つ以上の中隊が戦闘不能です」

『そうか』

「どうされます?」

アーロン中佐は思考せずこれまでの経験による勘で答える。

『いつもどうり友軍が到着するまで粘る。と言う所だが、今回は幸いなことに何時もより数も質も揃っているだからこのまま攻勢へと転じる』

『「Yes,Boss!!」』

 

「部隊の損害は?」

『幸いなことに撃破された機体はありません。ですが幾つかは損傷した機体、部隊があります』

「そう…損傷が酷い機体と部隊は下がらせて後方支援に徹しさせなさい。―――――ちっ、ふざけた真似を」

グロリアはCPからの報告を聞いた後小さく舌打ちをし上空にいる新種のBETAを睨む。件のBETAは次々と足に掴んでいた他のBETAを投下していた。

『お姉さま、どうされます』

副官のアリス=クロア=アナスターシア大尉がグロリアに判断を仰ぐ。

『当然、何時も道理ですよね、お姉さま』

アリスの双子の妹、クリス=アロア=アナスターシア大尉が自信満々に言う。

「愚問というものよ、二人とも。何時も道理に行きます」

そこで言葉を区切り、グロリアは一度軽く目を閉じ、そして直に目を開く。開かれたその目は、まさしく一騎当千の戦士の目。

「勇敢なる騎士達よッ、之より我等が祖国を人類に仇名すBETAを滅します。……すぅぅ――――いざッ吶喊!!!」

 『Yes,Dame!!』

戦乙女の号令の基、彼女に付き従うエインフェリア達は一斉に己が武器を掲げ人類の仇敵に突き進む。

部隊の先頭を行く、グロリアは次々と指示を飛ばす。

「ガルム中隊、メビウス中隊、ガルーダ中隊は遊撃行動。ドラグーン中隊は我がヴァルキュリア隊と共に斬り込みなさい。フェザー中隊、バリスタ中隊はいつもどうり後方からの支援! 損傷した機体も両中隊と共に後方から援護しなさいッ!」

『了解!』

支援を任されたフェザー中隊とバリスタ中隊は全機がトラファルガーで構成されている完全な砲撃支援専用の部隊である。

『こちらフェザー01! フェザー隊全機AL弾頭発射後ALMランチャーをパージし大佐達を支援するぞッ!』

『『『『『『『『『『『了解!』』』』』』』』』』』

『バリスタ01よりバリスタ隊全機は遊撃行動を行う部隊の援護だ! 味方に当てるなよッ!』

『『『『『『『『『『『了解!』』』』』』』』』』』

そんな中両中隊が攻撃を開始する前に一機の戦術機がBETAに突撃する。

それはグロリアのブラフォードだ。

彼女はエレメントを組まず単独で行動する。それは驕りではなくただ単純に彼女の力量が部隊の中でも最強を誇るからだ。そして彼女の部下達はそんな彼女に魅了し信頼する。

それがヴァルハラ大隊の姿である。

そして彼女の上をフェザー中隊が放ったAL弾が通り過ぎる。その無数に飛来するAL弾を光線種のレーザーが迎撃する。辺りに微量ながらも重金属雲が発生する。

光線種のレーザーが止んだ直後、グロリアは機体を上空に持ち上げる。それを見た一部の者達以外は皆驚きの表情を浮かべる。

BETAとの戦闘に対して空を飛ぶというのはご法度であることは周知の事実。余程精神的に問題が発生した場合か普通の常識が通じない者達以外は普通は空を飛ぼうとしない。

なのに彼女は飛んだ。

そしてその先に居るのは―――――――新種のBETA―――――――

グロリアは光線種の次の照射にかかるインターバルを利用し新種のBETAに接近を試みたのだ。当然新種のBETAも自身に向かってきたグロリアを迎撃しようとその足に付いている鋭利な爪を向けるが……

「遅いわ!」

グロリアは容易くBETAの上を取る。

元来あらゆる生物にとって自身よりも高い位置にいる相手に対して優位に立つことはほぼ無い絶対的な弱点の一つであった。それが人間の技術の躍進によって遠距離まで飛ぶ兵器を生み出し、そして更には航空機が開発され人類は空という領域までも獲得した。

だがBETAとの戦争が始まり光線種によって人類は二度と戦場で空を飛ぶことは無かった。

だがグロリアは躊躇せず空を飛ぶ、駆る。その姿はまさに神話上に存在した美しき女神のようである。

グロリアは幼少時に父からこんな話を聞いた。

“もしBETAとの戦いで人類が再び大空を翔ることが出来たら人類は絶対にBETAに勝てる”と

その後1981年、彼女の父はイギリスに撤退しようとする部隊を支援するべくフランスのパリで最後まで引かず戦術機が大破しても戦闘機で出撃したという話を当時父に助けられた壮年のフランス軍の人に教えられた。

それ以来、グロリアは父の遺志を継ぎどうすればBETAとの戦いで上を取れるか模索し訓練を続けていた。

その果てに今、彼女はBETAよりも高く絶対的優位な立場を得た。

「はあぁぁぁッッ!!」

BETAの背に乗り、右手の突撃砲に取り付けられたヴァヨネット(銃剣)と左手に持つ攻防一体のシールド【イージス】に仕込んであるモータブレードの刃が飛び出し刃が高速で回転し金きり音を上げる。

 その二つを頭上へと掲げ新種のBETAの翼へと一気に振り下ろす。

 二つの刃は新種のBETAの両翼を斬り落す。翼を落されたBETAはブラフォードの重量を支えきれずそのまま地上に落下する。落下中もグロリアは他の新種のBETAの攻撃を受けないように上空にいるBETAに向けて突撃砲を撃つ。

また光線種はインターバルを終え照射膜を向けるもブラフォードは翼を落されたBETAの上に乗り盾にしているため攻撃ができないでいた。

BETAは決して互いを傷つけないという習性を利用したBETAとの基本的な戦い方の一つだ。

そしてグロリアは光線種は愚か他のBETAに攻撃される事も無く足元のBETAを地面で踏み潰しながら地上に降りる。

「全部隊に伝えます! 新種のBETAは対して脅威ではありません! 弾幕を張るなり狙撃するなりと幾らでも対処は可能! 恐れず何時も道理の自分達の力を信じて戦いなさいッ! たとえどれだけの新種が現れようとも我等人類は決してこのような無法者達に負けません!!」

『ウオオオオォォォォォォッ!!!!』

彼女の戦いを見ていた全ての者達はその鮮やかな手並み、恐れを知らない勇ある行動、敵対者全てを屠らんとするその気概、そして欧州の戦乙女“ヴァルキュリア”という名に相応しきその実力!

この場に居る多くの者達は皆彼女に、イギリス王室騎士団海外派遣部隊“ヴァルハラ大隊”隊長のグロリア・ファーロングに心酔していた。

戦乙女の鼓舞を受けた勇者達は目前にいる人類の仇敵へと攻撃を開始する。

 

 

 

後書き

第三章第十一羽終了

ヴァルハラ大隊にどこかで見た事あるような部隊名がありますが、まあゲスト出演と思ってください。

ぶっちゃけ空のACも自分は大好きなんです。

ちなみにお気に入りは4と5とZERO、後機会があれば6もやりたい。

特にZEROのピクシーとかカッコよすぎるしラストミッションのPJ(PQじゃないぞ)の見事な死亡フラグとか

「よう相棒、まだ生きてるか?」「撃てよ臆病者! comoooooon!!!」

「俺この戦いが終ったら彼女に告白するんです」そして直後にモルガンによって墜されるPJ!

あと4のラストのジャン・ルイも印象深いし「挾まちまった!」も名言だしね。

それに空のACも陸のACと同じでBGMがとても良い。

さあ、次もペイバックタイムと行こうか!

補足として空のACのキャラの中の人が陸のACのキャラと同じ人物が複数人います。

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