黒い空

 

 

<SIDE:草薙賢吾>

新たなBETA

先ほどのブリーフィングで得られた情報は空を飛ぶというが、そもそも何故空を飛ぶ?

奴等には明確に戦術をとるという行動は無い。仮に確立されたとしても何故だ?

「お前等はどう思う?」

「わかんねぇな、そもそも情報が足りなさ過ぎるんだよ」

「だよな。ケンは内面で色々と考えすぎなんだよ」

「確かにな、それに連中のことを俺等が細かく考えても仕方ないだろ、そいうのは副指令に任せとけばいいじゃんか」

全くこいつ等は―――――まあ確かにそうだな、幾ら俺が考えたところで仕方ないよな……だが……

「これは俺の憶測だがな、新種のBETAは輸送目的じゃないのか」

「根拠は?」

「根拠としては、先のブリーフィングで海上で襲撃を受けたとの話だ。なら新種のBETAのタイプは二種類に区別できる。一つは先も言ったように輸送タイプのBETAだ、上空から他のBETAを輸送し目的地にて投下する、そうすれば海上でも攻撃は可能だ。そしてもう一つはそいつ自体に他のBETAと同じ攻撃能力を有するかだ。―――正直言って、俺としては前者である事を祈りたい」

「まっ、現地に着けば解るだろ」

「だな」

そう言って親友達は自機に向かっていった。

そして俺自身も自機に乗り込む。

今の俺の乗機、震電は他の戦術機とは全然違う。従来の戦術機の管制ユニットはボディ前面から乗り込む形だが、この震電は鳴海や伊隅が乗るアーマード・コアと同じ背中からだ。

始めは戸惑ったが、乗り込んでからはかなり理に適った機体だと認識した。

背面から管制ユニットがスライドして出てくることにより今までとは違い前面をより装甲で固めることが可能になった。これは戦場では非常に有り難い、なぜなら戦場で最も攻撃を受けやすいのがボディの前面だからだ。

そして背中には新型の跳躍ユニット“飛翔ユニット”を搭載、出力は不知火と全然変わらないが燃費は此方の方が断然優れている。そして今まで跳躍ユニットが取り付けられていた左右の腰部には74式近接長刀・改を二振り装備。そして両手は、右手に36mmリニアチェーンガン、左手に新型の36mmショットガン、肩の左右ハードポイントには、右に120mmスラッグガン、左に銃身を延長し3000発入るマガジンよりも大型の5000発も入るドラムマガジンに換装した新型の36mmガトリングガン。とかなりの攻撃力を確保している。

この機体の難点を上げるとすれば各間接周りが堅いことぐらいかな―――まあ、その辺りは不知火・壱型丙に乗っていたから余り問題は感じないな。

「さて、機体チェック完了と。A-01各機楽しい遠足の準備はバッチリかな?」

ふざけた感じで各機に通信を繋ぐ

『ケン、バナナはおやつに含まれるのかい?』

「残念、バナナはおやつに含まれません。せめてお昼のお弁当のデザートとして入れましょう」

『少佐、残念な事にもうお昼は過ぎてますよ』

『いや遙、そうじゃないでしょ』

「昼が過ぎてるんじゃ仕方ないな」

『なら目的地に着いたらおやつタイムにして、その後はBETAとお遊戯の時間としゃれ込む、なんてのはどうよ?』

「ナイスアイデアだキム、他もそれいいかな?」

『いいともー!』

はは、やっぱいいね…こういうのはさ……

「じゃ、行こうか」

 

<SIDE:NO>

アフリカ大陸にはハイヴは存在しない、なのに何故欧州や極東と同じく世界最大規模の前線と呼ばれるのか? それは一重に地形の所為でもある。

アフリカ大陸は紅海や地中海などを挟んでユーラシア大陸にかなり近く、近隣には甲9号アンバールハイヴに甲11号ブダペストハイヴに甲12号リヨンハイヴが近いからだ。更にそれらハイヴは全てフェイズ5という規模だ。

そのため人類発祥の地と呼ばれ更に化石燃料や鉱石などが手に入るアフリカ大陸の防衛はBETA大戦でも重要視されている。

そして今回新種のBETAが現れたのは恐らく甲9号アンバールハイヴからなのだろう。更にアンバールハイヴの奥は甲2号マシュハドハイヴがあり、その更に奥には甲1号喀什(カシュガル)ハイヴ、通称“オリジナルハイヴ”が存在する。

『こちらサンダルホン01、各部隊問題なく現地に到着したな?』

『ヴァルキュリア01、我が部隊問題なし』

『フェニックス01問題なし』

『こちらレイヴンズネスト、確りと付いて来ている』

彼等が今居る場所は、紅海北西部スエズ運河絶対防衛線に展開しており丁度アンバールハイヴと真向かいの場所だ。

基地から発進した各部隊は、それぞれ中央と左翼と右翼に分かれ、アフリカ国連軍エジプト第3基地所属のクセ連隊は中央にイギリス王室騎士団ヴァルハラ大隊は左翼にレイヴンズネストとA-01は右翼に分かれた。

この一見バラバラな布陣だが、明確な理由が存在する。

アーロン中佐指揮下のクセ連隊の戦術機は第一世代機と第二世代機しか居ないがその分は数で補っている。

そしてグロリア大佐率いる英国王室騎士団海外派遣部隊“ヴァルハラ大隊”は全機がイギリス独自の第三世代機で騎士団専用機の近接戦闘機“カラドボルグ”と遠距離砲撃支援機“トラファルガー”、そしてグロリアの専用機たる“ブラフォード”を筆頭に構成されている。

A-01もまた全機が第三世代機で構成されていることと、何よりもたった一機で大隊規模の部隊を倒す事ができるレイヴンズネストが居るため彼等は少数で構成されることとなった。

『現時刻は1502時、何も無ければ1700時に帰還する』

『了解』

 

が、その後、全くBETAは影も形も見せず、殆どの人は退屈しており適当に駄弁っている。

武達も故意にACのジェネレータを戦闘状態まで稼動させてみたが一向にBETAは現れず退屈している。

「本当に出るのかよ?」

『出るのなら出る。出ないのなら出ない。それでいいじゃないかシロガネ』

武のぼやきにゼロが返す。

「そうは言われても正直退屈すぎますよ」

『まあ、確かに退屈だがもう直終了時刻だ、それまで辛抱しろ』

「りょうかい~」

現時刻は16時50分、後10分だ。

 

そして10分後、つまり当初の調査終了予定時刻17時だ。

『中佐、時間です。どうやら今回は現れなかったようですね』

『そのようだな、では帰還するとしよう。HQ、こちらアーロン・バルドゥーインだ、今から帰還する』

『こちらHQ了解、各部隊は順次帰還……まってください』

通信の向こうのHQは急に騒然となる。

『どうした』

『中佐、大変です! アンバールハイヴから大規模なBETAの進軍を確認!!』

『!!』

通信を聞いた全ての部隊が戦慄する。アーロン中佐はようやく現れたかと小さく舌打ちする。

『規模はどのくらいだッ!』

『規模は……旅団規模です!』

『他の所からBETAの進軍は無いんだな!』

『有りません!』

『よっし、なら直に砲撃隊及び各所に点在する友軍に救援要請だッ、急げ!!』

『了解!』

HQと通信を終えたアーロン中佐は直に各部隊に指示を飛ばす。

『グロリア大佐! そちらは!?』

『こちらは何時でも行けます!』

『こちらレイヴンズネストだ』

そこに行き成りエヴァンジェから通信が入った。

『何だ!?』

エヴァンジェは冷静な声で伝える。

『いたぞ』

『?』

その言葉を聞いた全ての者達は首を傾げる。

『噂の新種のBETAが』

『!?』

その言葉を聞いた全ての者達が驚愕する。

『どこだ!!』

アーロン中佐が怒鳴り声を上げるがエヴァンジェは先と同じ冷静な声で話す。

『海上上空だ。しかも奴等――他のBETAを運んでいるぞ』

それを聞いた全機は直に紅海の上空を見る。

そこには……大量の黒い物体が飛んでいた。 

 まるで、海を渡ろうとする鳥の大群に見えるがその姿はBETA特有の醜い外見だ。

ACと戦術機が捉えたその姿は鳥というよりも蝙蝠に近い外観をしており、大きさは固体固体で違う。10mくらいのも居れば5m位のもいる。外見は頭部といえる部分には戦車級の口に近い、胴体とその特徴的な翼は蝙蝠や太古の地球にいた生物の恐竜の翼竜に近い、そして足とも呼べる部分には丁度鳥の足にも見えるがその部分は鋭利な爪があり戦術機の装甲など容易く切り裂けそうである。

そしてその爪には今、別のBETAが掴まれている。

 10mクラスのヤツは要撃級や突撃級等を運んでいる。中には重光線級もいる。そして5mクラスのヤツは戦車級等の小型種多数、更に此方も光線級もいる。

突如、各機にレーザー照射警報が鳴る。

『クッ、全機乱数回避!!』

その叫びと共に新種の足に掴まれている光線級と重光線級からレーザーが照射される。

 

 

 

後書き

第三章十羽終了

とんでもないところで切っちゃったけど仕方ないのです。まだ後戦闘だけで四羽は続く予定です。

あと新種のBETAの性能と外見はあんな感じです。ようは翼竜の体に頭は蝙蝠と思っちゃてください。

で、騎士団の機体はあんな感じの名前です。詳しくは用語の方へGO!

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