ゼロ達が第一ブリーフィングルームに到着すると、そこにはこの基地の衛士全員が適当な席に座っており前方には基地の司令であり戦術機部隊の隊長のアーロン・バルドゥーイン中佐が立っている。
ジノーヴィーがゼロの肩を叩き指を挿す。その方向にはジャック達が座っている。ゼロはそれを確認しジャック達の下に行き近くの空いている席に座る。
グロリア達も近くの空いた席に座る。
「全員集まっているな?」
アーロン中佐が確認しようと声を発した瞬間、ブリーフィングルームのドアが開く、部屋中の視線が入ってきた集団を見る。
「遅れて申し訳ありません。極東国連軍横浜基地所属の部隊です。先程まで訓練を行っていた為遅れました」
そう謝罪したのはA-01の隊長の草薙少佐、他の隊員達も一斉に敬礼しながら申し訳ありませんと謝罪する。その中には武と純夏にフェイトもいる。
ただし彼等は謝罪をしただけで敬礼はしていない。
そのことを幾人かは非難の目を向けたがアーロン中佐は気にせず、彼等に席に付くように言う。
そして今度こそ全員が集まったのを確認し、内容を話す。
「突然の召集ですまないと思うが、自体は緊急を要する」
『………………』
「静かに」
そのことに室内は若干ざわつくがアーロン中佐の叱責に直に口を閉じる。
「本日未明0446時にオーストラリアからの輸送船団がエリュトゥーラ海にてBETAと交戦したもよう」
ゼロ達はエリュトゥーラ海とは何の事か分からなかったので近くにいるグロリアに聞いてみた。
「すまん、グロリアだっけ? エリュトゥーラ海って何だ?」
「「貴方、お姉さまになんて口の利き方を!」」
「黙りなさい、私は気にしません。それに彼等は傭兵です。我々軍人と違い軍規には縛られないのですから」
「「……はい…」」
双子は叱られたため肩を落とししょんぼりとなる。そしてグロリアはゼロ達に向き直り先程の質問について答える。ちなみに武達もエリュトゥーラ海というのが何なのか知らないため聞き耳を立てる。
「先程の質問に付いてですが、エリュトゥーラ海とはアフリカ東北部とアラビア半島ととの間に挟まれた湾です。北部にはシナイ半島があり、チラン海峡を通じてアカバ湾と繋がっています。また、北西部にはスエズ湾があり、スエズ湾はスエズ運河を経て地中海と繋がっているのです。また、南部はバブ・エル・マンデブ海峡を経てアデン湾と繋がっているます。あと補足ですがエリュトゥーラとはギリシャ語で赤という意味で一般には紅海とも呼ばれています。理解しましたか」
彼女の詳しい説明に殆どがへぇ~と頷いている。だがその話を聞いて彼等は疑問を感じた。いや、BETAの襲撃を受けたという説明を聞いた全員が疑問を感じた。
一人の衛士がその事に付いて質問する
「中佐、BETAの襲撃を受けたということは光線級に攻撃されたということですか?」
アーロン中佐は顔を歪めながら一言「違う」という。ならば何なのか? 海上でBETAの襲撃を受けるということは滅多に無い。BETAは基本海中を移動することは可能だがそこから海上にいる相手に攻撃はできない。なぜなら戦術機のように飛ぶことができないからだ。
そして光線級もその例に漏れずいる。幾ら高出力のレーザーでも水中ではその威力を発揮できないでいる。そのため現在では海上による輸送は比較的安全といえる。そして海上で攻撃を受けるとすれば、それは陸からの光線級による攻撃くらいである。
「輸送部隊の生き残りと輸送艦からの最後の通信によると空から攻められたらしい」
『!!!!!??』
室内に一斉にどよめきが走る。アーロン中佐の表情にも渋いものがある。
そしてその中で彼の若き副官のバルナール・クリストフ中尉が発言する。
「ちゅ、中佐、それはまさか新種のBETAが現れたということですか」
クリストフ中尉の言葉にアーロン中佐は無言で頷く。それを契機に室内は再び騒然となるが直にアーロン中佐は騒ぎを沈め話を続ける。
「話を続けるぞ、その報告を聞いた国連上層部及び各国首脳陣は早急に対策、また件の新種についての情報を入手するための指令が当基地に下された。また上層部は暫定的にその新種をUNKNOWNとし我等も正式名称が確立するまではUNKNOWNと呼ぶ」
『Yes,Boss!』
「それではミッションプランを説明する。今回の作戦には当基地の他にもアフリカ第1第2第4第5基地及びアフリカ連合軍からも出撃する事になっている。そして我々は北西部のスエズ運河方面に向かう。また現地では我々の他にレイヴンズネストに極東から派遣された部隊とイギリス王室騎士団にも参戦してもらう。作戦開始時刻は1500時だ。現地ではどのような事が起きるのか分からない、敵の情報は空を飛ぶという事だけだ! 何時も以上に気を引き締めて任務に当たれ! 以上、解散!」
『Yes,Boss!』
その言葉を締めとし全員が起立し敬礼する。そして解散し準備しようと全員が出口に向かおうとした瞬間…
「一つ良いだろうか」
『?』
『ジャック / さん?』
室内の人間と武達がジャックに注目する。
「何か?」
「我々が受けた依頼は当基地の防衛、未確認種の調査ではない。我々がこの任務を受けるのなら追加報酬を頂くことになるが?」
その内容を聞いた殆どの衛士は激昂する。“薄汚い傭兵”と、
アーロン中佐はジャックのその質問に答える。
「それを私に言われても困るが、だがこの作戦にはレイヴンズネストにも参加してもらいたい。だからこの後本部にも掛け合おう。それでいいか?」
「妥協しよう。我々は傭兵、報酬さえ支払って貰えるのならどのような依頼でもこなして見せよう」
「期待している」
ジャックはその言葉を背に部屋から退室していく、ゼロ達も慌てて追いかける。
「ジャック、貴様連中の足元を見ただろう」
ジャック達はあの後自分達の機体が収容されている格納庫にパイロットスーツで集合している。そしてエヴァンジェが先程のことに付いて聞く。
「その通りだ。これから先、金が必要になることなど分かっていること、ならば少しでも多くの資金を得るためにはこういうことも必要だ」
全員が成る程と頷く、自分達は傭兵、軍とは違い、弾薬費や修理費は自腹で払うしかない。
なにより彼等には今“ある計画”がある。その計画のためには資金が必要だ。
「あ」
と、そこでゼロが思い出したように声を漏らす。
「どうしたゼロ?」
「いや、忘れるところだった。ジノーヴィー、ほら先のあれ…」
「ああ、あの事か、そうだな今聞くか」
「二人とも何の事ですか?」
武が疑問を口にする。ジノーヴィーがそれに答える。
「ああ、先のブリーフィングを受ける前に香月博士が言っていたイギリスの騎士団の隊長にゼロが会ったんだが、その内容がな――」
「何と言って来たのだ?」
ジャックが聞き、今度はゼロが答える。
「自分達の国の女王に会って欲しいとさ――」
「それで二人は何て答えたのだ」
「俺達の一存じゃ決めれないから聞くなら俺達のボス、ジャックに聞けと言っておいた」
「成る程、しかし困ったな、日本のこともあればイギリスのこともあるとは……どうしたものか――」
ジャックは顎に手を当てて考え込む、他はジャックの答えを待つ。
暫くしてジャックは顔を上げる。
「そうだな、代役という形を取ろう」
『代役?』
ジャック以外の全員の声が同時に重なる。
「そうだ、幾ら私でも同時には無理だし“例の計画”の事も考えれば余り時間は取れない。ならば日本とイギリスには私の代役が代わりに行ってもらって話し合って欲しい。その間私は計画を進める」
「で、誰がその代役を務めるんだ?」
ジナイーダの質問にジャックの視線は武に向かう。
「え! 俺!? む、無理ですって、俺なんかにジャックさんの代役が務まる筈が無いじゃないですか」
「なに考え無しじゃないさ。白銀君、君には日本に行ってもらいたい。香月博士にもそのことを伝え協力してくれる筈だ。それに君は日本人だ、私よりも君のほうが話を聞いてくれるだろう」
そこまで言われては武も引けなかった。
「わ、分かりました。どこまでできるか分からないけど頑張ってみます」
「そこまで緊張するものでもない。それに幾らなんでも君一人に行かせる筈が無い、複数人一緒に行ってもらうよ」
「はい」
「で、ジャック、イギリスの方は?」
今度はフェイトが聞く。
「イギリスの方はまだ決めていない。まあ、今回のことが終るまでには決めておくさ―――と、どうやら時間だ全員行こう」
『了解』
そして彼等はそれぞれの愛機に搭乗する。
果たしてその先の戦場には何が……
後書き
第三章第九羽終了
遂に現れたるは新種のBETA。
名前はまだ未定です。もしこんなのが良いよという意見のある方は是非掲示板にでも書き込んじゃってください(また人任せか)。
ちなみに細かい設定なんかは別の機会に、ちゃんと構想はありますよ、嘘じゃないYO、インド人ウソツカナイNE
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