双子とそして・・・

 

 

あれから一ヶ月、ゼロは様々な任務を受け、その全てを完遂した。まだ任官したばかりのルーキーがこれほどまでの活躍をしたのはアルサレアでは、かの名高いグレン将軍直属の特務小隊“グレン小隊”の若き隊長であるクロード・シュヴァリエ少佐と同等とも上層部では囁かれている。

そして今も彼はある任務を受けている。

内容はガイドゥムラ平原地帯に存在するヴァリムの基地の破壊。

ゼロ達暗部の任務は何時も深夜に行われる。そのため今回も多くの人間が寝静まった深夜に作戦は行われた。

そして今ゼロの目の前で最後の敵PFヌエがボディに穴を空け倒れる。

「よし、あとはメギドを撃ち、撤退すれ…!!」

なにかを感じた。いやPFの集音声マイクが拾った音を聞きゼロは直にその場から離れようと一足飛びで前方に飛び出す。

すると風を斬るような音が聞こえた。そしてゼロが居た場所をそれは通過する。ぶおんぶおんと音を出しながら。自分を襲撃した物体を確認しようとゼロは音を発するそれを見る。

「手裏剣! ッまた!」

そうそれは手裏剣だった。それも巨大な、そして更にもう二つ迫る。それをショットライフルで撃ち落しもう一つは回避しようとするがその巨大な手裏剣は追跡してくる。

「ッ!?」

ゼロは驚くが直に右、左と回避する。暫くすると手裏剣は反転していく。その先を見ると二機の蒼紫色と赤茶色の変わった形をしたPFが現れた。そのフォルムはまさに一言で表すと“忍者”だ。

『あれを全て回避するか、予想以上ね』

『へぇ、なかなかやるじゃねえかお前』

二機から発せられた声は少女の声。

即座にゼロはまずいと判断、恐らくあれはヴァリムの試作機なのだろうが敵の性能は未知数、どう対処すればいいのか悩む。更に向こうの武装は蒼紫の方は右肩に先程の巨大な手裏剣を掲げ左手には篭手のような特殊な形状の武器、赤茶色の方は右肩に片方と同じで巨大な手裏剣を装備し左手には此方も大きな鎌を持っている。

(恐らく片方が遠距離からの支援でもう片方が接近戦による攻撃か、どっちにしろ今の状況ではやり辛い)

ゼロは残弾を確認する。ショットライフル残り125発で機体のエネルギーも心配である。

そこに通信が入る。相手は上官のセシリアだ。

『ⅩⅢ、作戦変更です。目の前にいる敵のPFの捕獲或いは撃破へと作戦を変更します』

「待ってくれ、こっちは先の戦闘で機体が心もとない」

『では危険と判断した場合は直に撤退してください。方法は問いません』

「了解」

ゼロは小さく舌打ちをする。そして今度は向こうから通信が入ってきた。律儀に待っていてくれたようだ。

『話し合いは済んだかしら』

「わざわざ此方の通信を待つとは殊勝だな」

『そりゃそうだろ、わざわざ機体が万全じゃないヤツを倒したところで面白くもなんともないだろうが』

「後悔するぞ」

『させてみなッ!』

赤茶色の機体に乗っている少女はなかなか血の気が多いようである。

『報告どおりの実力か見ものね』

対して蒼紫の機体に乗っている少女は冷静で感情の起伏が小さいように見受けられる。

『マイ、行くわよ』

『OK、ユイ姉』

マイと呼ばれた少女は大鎌を構えゼロに突撃する。対してユイと呼ばれた少女は右肩に背負う巨大な手裏剣を右手で抜き投げつける。更に左手の篭手から小型の手裏剣を発射してくる。

大小の手裏剣がゼロの逃げ道を塞いだためゼロは仕方なく前方に突出する。

ゼロはショットライフルを撃ちながら前進しマイはなんと走ってきた。恐らくマイ達が乗る機体は脚力が以上に強化されているのだろう。その足の動きはまさに忍者のようである。

マイが大きく鎌を振り上げる――ゼロはそれを空き手状態の左手で柄の部分を掴む――空かさずマイは右手で殴る――が、ゼロは左足で蹴る――それを喰らったマイは距離を離す。

ゼロの機体にアラートが鳴る――ゼロは危険と感じブーストで左に行く――ゼロが居た場所に小型の手裏剣が刺さり巨大な手裏剣はその場を通り過ぎていく。

もう一機はとレーダを確認すると一機は上にいると判明し上空を見上げると再び小型の手裏剣が降ってきた。

『なかなかやる』

ユイは素直にそう漏らす。

彼女達はヴァリムのあるプロジェクトによって生み出された存在で今まで彼女達の猛攻を凌いだのは自分たちの上官くらいだった。

ユイはマイの傍に降り立ち再びゼロと対峙する。

『姉貴、こいつ手強いよ、どうすんの?』

『問題無いわ、確かに手強いけど此方の勝率は80%以上、油断やミスさえしなければ負けないわ』

そして再びユイとマイはゼロに仕掛ける。今度はマイも手裏剣を投げるが

『『!?』』

巨大な手裏剣だけはあらぬ方向に飛んでいく。

「成る程、でかい方の手裏剣は誘導兵器か」

『クッ、妨害用のジャマーか、これで他の基地はやられたのね』

『はッ、そんなの関係ねぇ』

そう言ってマイは飛び出す。

「悪いがもう加減はせん」

そう言って再びゼロはさっきと同じようにマイの機体が持つ鎌の柄を左手で受け止める。

『先と同じだろうが!』

マイがそれを口にした途端ゼロは口を吊り上げる。

『え! うあぁ、ちょッ』

ゼロは左手を引く――そしてそれに釣られたようにマイの機体も前につんのめる――バランスを崩したマイの機体をゼロは足を掛け転ばす。

「お前は後だ。先にあっちを」

『マイ!』

『ユイ姉ッ』

珍しくユイが焦った言葉をだす。そしてマイも姉を心配する。

 『クッ、計算以上ね、やり辛い、でも』

「背中の手裏剣を使えなくすれば戦力は落ち、勝機はこっちにある」

ゼロはショットライフルを撃ちながら接近しようとするがユイは左腕の手裏剣で接近させないようにする。更にユイは合間合間をもってゼロに正確に攻撃を加えていく。

だが正確な攻撃はそれだけ見極めやすくもある。ゼロもまたユイの攻撃を回避する。

(当たらんか、なら)

そう考えたゼロはJファー・カスタムのボディ上部の左右にある小型機関砲も同時に撃つ。

この小型機関砲は本来施設攻撃や戦車などの細かいものを攻撃するあくまで補助的なものでしかなくPFに対する攻撃力は皆無と言っていい。

ユイはその事に疑問を感じつつも無視し左手の手裏剣を撃ち続ける。

だが幾許か撃ち合いをしていると左手が動かなくなった。

『!? 何? 左腕部の肘に異常? まさか!』

「掛かった」

ゼロの狙いは小型機関砲によるPFへの攻撃ではなく、左腕の肘を狙った攻撃だった。

PFは精密機械の塊で、また人間と同じで内部に異物が混入した場合、体に異常が発生する。ゼロは小型機関砲の小さな銃弾をユイが乗る機体の左腕部に目掛け撃ち続けていた。そのお陰でユイの機体は左腕が上がらなくなってしまった。

『やってくれる』

「貰った!」

ゼロは左手にレーザーソードを持ちユイに一気に接近しようとするが

『姉貴はやらせねぇーーッ!』

背後に迫ったマイがそれを阻む、マイは両手に持つ鎌を思いっきりゼロに向かって投げつける。

「ちっ」

仕方なくゼロはその鎌を避ける為ユイから離れる。そして戦いは仕切りなおしとなる。

『姉貴大丈夫?』

『大丈夫よ、マイ、そっちは』

『こっちはそこまで酷くないよ、でも姉貴の方が』

『そこまでよマイ、向こうは待ってくれないわ』

そして三機は再び飛び出そうとするが

『ⅩⅢ、下がりなさい!』

『マイ、待ちなさい!』

それぞれから静止の言葉が掛かる。それを聞いたゼロとマイは立ち止まる。

その瞬間、上空から一機の戦闘機が突っ込んでくる。

ゼロは危険と感じ少し下がる。ユイとマイはその場に立ち止まる。

そして戦闘機が三人の間に着弾し爆発する。ゼロは一瞬呆然とするが直に気を引き締める。目の前には一機のヌエ、だがその両手には二本のカタナが握られている。そのヌエは戦闘機に張り付いてここまで来たのだろう。普通な感覚で言えば非常識だ。そしてヌエのパイロットがユイとマイに話しかける。

『ユイ、マイ、撤退しろ』

行き成りの撤退命令、この人物は二人の上官なのだろう。そしてそれに反発するのはマイ。

『ええッ! なんでだよッ、アタイはまだまだやれるよ』

『マイ上官命令よ』

『そういう事だ、それに今その試作機を壊されるわけにはいかん。速く行け、向こうにはグリュウも居る』

『ちっ、分かったよ』

ここでマイの矛先は何故かゼロに向く

『おい、お前』

「?」

『アタイの名前はマイ・キサラギだかんな憶えとけ! 今度会ったらこの借りは返させてもらうかんね』

『ユイ・キサラギよ』

そう言って二人は機体を反転し撤退していく。

勿論、ゼロは彼女たちの背をロックオンするが撃てなかった。それは目の前に立つヌエのせいだ。

目の前のヌエは一見ただ構えもせず立っているだけだがその立ち振る舞いは全く隙が感じられなかった。ゼロはモニター上の相手を睨め付けながら冷や汗を流していた。

(出来る)

そう睨んでいると向こうから通信が入ってきた。通信ウィンドウに映った相手を見てゼロは驚愕した。

相手の外見は血のように紅い自分と同じくらい長い髪をもち、瞳の色も血のように紅い、そしてなによりその顔は自分とそっくりだった。

『ふむ、驚くか、まあ当然だな』

「な、なっ」

詰まりながらもゼロは辛うじて声を出す。「なんなんだ」と、そう言われた目の前の男は肩窄めながら苦笑し話しかけてくる。

『なんなんだと言われてもな、じゃあ自己紹介をしよう、俺はヴァリム戦略機動軍所属フェイト・アークエイル少佐だ』

「!?」

フェイトという名前をゼロは聞いた事がある。フィアッツァ大陸にいる誰もが知っている人物でヴァリムでも屈指のエースパイロットだ。だがゼロにはそれ以外で怒りを覚える。

「アークエイルだと! その名は俺と姉さんの名だッ!」

そう叫ぶとゼロはショットライフルを撃ち、接近する。フェイトはライフルの弾を必要最小限の動きでかわし、Jファー・カスタムが左手に持つレーザーソードを右手に持つカタナで防ぐ。

『いい攻撃だ』

「黙れ!!」

『先の言葉に付いて答えよう。お前が言う姉さんとはキキョウのことか』

「なっ!!」

『矢張りな、生きていたのか“  ”』

「…どうして……」

『さあそれはお前がこの先も生きていれば分かるかもな』

「ふざけるなーーーッッッ!!!」

ゼロは右手のショットライフルを手放し右手にもう一つのレーザーソードを持つ、そして右手で斬り掛かる。が、フェイトは左手のカタナでその攻撃を弾き右半身の身を引く。

それによりゼロはバランスを崩すが踏みとどまる。が、フェイトはその状態で膝蹴りをかまし仰け反ったJファー・カスタムの両腕をカタナで斬る。

「ッ!」

『まだ未熟だな』

そしてカタナで交差一閃

「うあぁぁぁッ」

その一撃を受けたゼロのJファー・カスタムは吹き飛び、仰向けに倒れる。

『許せとは言わん、だが生きてまた会おう』

途切れいく意識の中でゼロはその言葉を聞いた。

それから数十分後ゼロは救援要請を請けた暗部の人間によって救助された。

 

 

 

後書き

チャプター1-3終了

原作ファンの間でも大人気の双子が登場しました。とりあえず自分としては両方ともお持ち帰りした(ry

しかし今回は長かった(笑)

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