朝食の席での一時に武はジャックに一つの頼みごとをお願いしてみた。
「あの、ジャックさん」
「ん? 如何した白銀君」
「実はお願いしたいことがあるんですが…」
「言ってみたまえ」
「A-01の皆に会ってきてもいいですか?」
ふむ、と呟きながらジャックは顎に手を当ててほんの少し思案する。そして顎から手を離し、
「いいだろう、許可しよう。どうせ共闘するのだ、なら直接会って親交を深めるのも悪くない。行って来るといい」
その言葉を聞いた武は顔を綻ばせながらジャックに礼を言う。
「ありがとうございます。ジャックさん。じゃぁ、ちょっと行ってきます」
そう言って、A-01が居る格納庫に向かおうと立ち上がろうとするがジャックが呼び止める。
「ああ、待ってくれ白銀君、行くのなら誰かと一緒にしてくれないか」
「え? 何故です?」
「仮にもし何か有った時には君一人じゃ危ないかもしれない、そうだな鑑君とフェイト、君達二人が着いて行って貰えないか」
「タケルちゃん一人じゃ心配だから私はいいですよ、フェイトさんは?」
「俺も別に構わんぞ」
「ジャックさん達ひでぇぇ! これじゃぁまるで初めてお使いに行く子どもみたいじゃないですか!」
武の言い分を聞いて皆で笑いあう。
「それじゃ、タケルちゃん/シロガネが迷子にならないように着いて行きますか」
武達がA-01用に割り当てられた格納庫に着くとそこには三人の男女が居た。武はその内の一人に見た覚えが有った。
伊隅みちる大尉。A-01の第九中隊、通称イスミヴァルキリーズの隊長だ。
そして三人の中の一人の男が武達が来たことに気付き声を掛ける。
「おい、そこの三人、ここは関係者以外は立ち入りき……む、その服装はもしかしてレイヴンズネストか?」
武達に声を掛けた男、草薙少佐は関係者以外は立ち入り禁止と忠告しようとしたら、来訪者達は見慣れない服装をしていたのでレイヴンズネストかと尋ねるとその問いにフェイトが答える。
「ああ、俺達はレイヴンズネストだ。戦闘の前に挨拶だけでもしとこうと思ってな」
「そうか、だが済まない。今は訓練の為、俺達三人以外は全員シミュレータルームにいるんだ」
「いえ、いいですよ。元々こっちが勝手に来たんだし」
武がそう言うと草薙は「そうかい」と言って言葉を区切る。
「あ~でも折角来たんだしよ、見学でもするかい?」
草薙のその提案に武が「いいんですか」と聞くと草薙は右手でサムズアップしながら「オフコース」と言う。
草薙のその態度を見て後ろの二人、伊隅と孝之は溜息がでる想いであった。
が、それを聞いたフェイトは
「どうせならシロガネ、お前も混ざれば?」
「え?!」
フェイトは無言で草薙に「いいか」と視線で問いかける。草薙はその問いに目を伏せながら首を立てに振る。つまりはOKと。
「許可が出たようだし、シロガネは今すぐにハンガーに行け、カガミは何時も道理シロガネのオペレートを任せる」
「「はい」」
そう言って武は走り出す。純夏もそれに続こうとするが立ち止まってフェイトに尋ねる。
「フェイトさん、どうしてタケルちゃんにあんなことを?」
「なに、年上からのちょっとした気遣いだ」
「ふふ、そうですか」
「そういうことだ。じゃっシミュレータルームの管制室に行くか」
「はい」
そう話しながら二人はシミュレータルームに向かう。そして彼等が出て行ったのを見て伊隅が草薙に尋ねる。
「少佐、何故許可したのですか」
「なに、理由は単純だ。純粋に興味があるからだ」
「分かりました。それで編成はどの様に?」
「そうだな……」
そして準備が整った。シミュレータルームにいるA-01の通信ウィンドウに草薙の顔が映し出される。
『全員準備はいいな、今回は特別ゲストとしてレイヴンズネストの一人が参加してくれるぞ。どうだ、嬉しいだろ』
それを聞いたA-01の反応は様々だったが全員の目は非常に興味深そうにしている。
『少佐、少佐、それ本当ですか!』
『落ち着けよ水月』
『ははは、相変わらずだな速瀬は、だが安心しろ本当だ。それじゃあ紹介しよう。先日たった一人でこの基地の全部隊を倒した【ホワイトグリント】だ』
そして通信ウィンドウに武の顔が映る。
「何ですか? その【ホワイトグリント】って?」
『うん? 知らんのか? お前の事だよ、え~~と』
「白銀です。白銀武」
その名を聞いたときA-01の全員は驚いた。通信ウィンドウに出てきたのは外見が東洋人の容姿をしていたからまさかと思ったが、
『へぇ、日本語喋るからまさかとは思ったが、本当に日本人とはね……ああ、それとその質問だがお前が最後に演習で戦った相手、アーロン中佐が言ってたろ、お前の事を【ホワイトグリント】って』
それを聞いて武は思い出した。確かにあの時の最後にOBで突撃したとき白き閃光【ホワイトグリント】と言われたのを
(成る程ね、それで【ホワイトグリント】か、カッコいいけど)
「なんか恥ずかしいです」
『はははは、いいじゃないか、俺はカッコイイと思うぜ、それと別にわざわざ敬語使う必要は無いぞ、容姿からして白銀は俺達よりも年下だろう? 俺達のほうが年上だからなのは分かるが別に白銀は軍人じゃないんだ。階級だとかそんなのは気にせずに気軽やってくれ、なによりも内は博士の影響で堅苦しいのはしないようにいてんだ』
「あははは、じゃあ出来る限りそうしますよ」
『おう』
『少佐、もういいですか?』
『ああ、それじゃあ始めようか、これより編成を伝えるぞ』
『了解』
武はヴァルキリーズやフェニックスなどを入れ替わり立ち代りで参戦し親睦を深めていった。
訓練中の武の顔には終始笑顔が浮かんでいた。
SIDE:白銀武
A-01との飛び込み参加の訓練が終わりコクピット内で寛いでいると純夏から通信が入った。
「どうした純夏?」
『タケルちゃん、あのねA-01の隊長の草薙さんがタケルちゃんと一対一で模擬戦をしないかって』
「模擬戦?」
俺がそう聞き返すと今度はフェイトさんが出てくる。
『ああ、ただ正確には草薙少佐とじゃなくてA-01で最初にACに乗った鳴海孝之少尉とだ』
鳴海孝之、何処かで聞いた事がある。確か速瀬中尉と涼宮中尉の想い人じゃなかったっけ……ああ、そうか、確か鳴海って人は明星作戦で本来は死ぬはずだった人なんだよな、それにヴァルキリーズ以外の部隊が残ってるからそれも本来は明星作戦で壊滅するはずだったけど、俺達が介入したから生き残ったのか。
それに先の訓練でも見慣れない戦術機とACが二機居た。恐らく見慣れない戦術機の方は夕呼先生が言っていたコアプロジェクトで完成した機体の一つで、ACの方は多分データ取り用にとかだろう。
うん、純粋に興味が湧いてきた。
「純夏、その模擬戦受けると伝えてくれ」
『分かったよタケルちゃん』
SIDE:ゼロ
暇だから兄貴達の様子を見に行こうかなっと廊下で考えながら歩いていると、背後から声を掛けられた。
「失礼、レイヴンズネストの方ですか?」
馬鹿な!
考え事をしていたとは言えこの俺が背後からの気配に気付かないなんて何たる迂闊さだ。
そう思いながら、出来る限り相手を刺激しないようにゆっくりと振り返る。
振り返った先には三人の女、いや、左右の方は外観からはカガミと同じくらいだから少女か、しかも双子と来た。真ん中の女は間違い無く成人した女だ。それもエドが喜びそうなくらいの美女だ。
「「お姉さまが聞いているんですよ。答えたらどうです」」
俺が目を鋭くしながら相手を観察していると双子が同時に喋りだす。
「二人とも落ち着きなさい。もう一度尋ねます。貴方はレイヴンズネストの方ですか」
女が双子を宥め、再度俺に聞いてくる。
「そうだ、レイヴンズネストの一人だ。アンタは?」
俺が名を名乗り相手の事を窺う。
「失礼、私はイギリス王室騎士団の海外派遣部隊の隊長のグロリア・ファーロング大佐です。お会いできて光栄です」
それが俺と彼女の出会いだった。
後書き
第三章第七羽終了
武ちゃん、漸くA-01と出会えました。次は武ちゃんVS孝之です。まあ皆さんの予想通りの結果になるとは思いますがね(笑)でもそれを斜めに行く展開にするのが作家たる自分の指名だと思っております。
誤字脱字、感想等は掲示板にてお願いします。