当直以外が寝静まった深夜の格納庫に二人の男が忍び込む。
男達は周囲に誰もいないのを確認すると音を立てずに走り、目の前にある10mそこらの機械の塊に取り付く、そして細部を触りあるスイッチに触れる。
だが
「こんな夜更けに何をしている?」
そのスイッチを押そうとした途端、背後から声を掛けられた二人はすぐさま声の方に振り返り、腰からサプレッサー(消音機)が取り付けられた拳銃を抜き、声を発した主を撃ち抜こうとするが
「残念だがチェックだ」
更に上から声が聞こえ、驚くままにそちらに視線を向けると二人の人物が飛び降りてきた。
侵入者の方の二人は直にアイコンタクトをし、足場の悪い機械の塊から飛び降り、上から飛び降りてきた二人に目掛け2、3発発砲し一目散に出口に向けて撤収しようとするが、その出口からまた三人程人が現れる。
「残念ながら君達の行動は予測ずみだよ」
侵入者側の二人は即座に目の前の障害を排除しようとするが、二人の横からも気配を感じそちらにも目を向けた瞬間、片方の目の前に映ったのはクルクルと回転するレンチとスパナが四本、もう片方の目に映ったのは漆黒の髪に鋭い銀の目をした男から放たれた右スレート。
両者それぞれに命中し意識を失う。
そして扉側にいた。一人が近づき昏倒している二人組みの一人から銃を奪い、そのまま二人に目掛け発砲。
「ッ!!」
暗闇の中で一人が息を呑む、そして銃で頭を撃たれた二人組みは瞬く間に屍となった。
「矢張り来たか」
最初に侵入者に声を掛けた人物、エヴァンジェが声を発した途端、周囲から僅かにライトが点く。
「こいつ等の所属は…と、あー、ヤッパ身分を証明するもんは持ってないか」
侵入者達を上から奇襲した人物、ゼロが死体に近づき服の中を漁るがこれといったものは出てこない。
「あ、でもドッグタグを付けてるからそれで幾らか分かるんじゃないんですか」
そして上から奇襲したもう一人人物、武が極力、死人の顔を見ないように首の辺りを探ると彼等の首にはちゃんとドッグタグがぶら下げられていた。
「ふむ、所属は国連だが名は恐らくはアメリカ人だな」
そして侵入者を撃ち殺した人物、ジャックが武の持つドッグタグに彫られている情報を確認する。
「で、どうするんだ」
「俺としては、今はまだ様子見の方がいいかな」
そしてジャックの隣にいた残りの二人、ジナイーダとフェイトも近づく
「私もフェイトの意見には賛成だ」
侵入者の一人を右ストレート一発で決めた人物、ジノーヴィーはフェイトの意見に賛成する。
「ボイド、無事か」
「ああ、以前もよく新人達にスパナを投げていたりしていたからな、問題無い」
そう答えるのはもう一人の侵入者を沈めた人物、ボイドは怪我をしていないと心配したゼロに伝える。
彼等は此処に来れば必ずオルタネイティヴ5派の若しくはそれに連なる勢力の間者が現れると見ていた。
その為、昼間は派手に動きながら夜などの時間帯は格納庫付近に待機しそれらが現れるのを待っていた。そして武が基地の全部隊との模擬戦が終りその後の祭り状態で夜には多くの人が眠った今夜、連中が現れた。
「皆、エドから連絡が来たわ」
と、その時、扉からシーラと純夏が来た。
「エドは何て?」
「順調らしいそうよ、すでに幾つかは交渉が済み、何時でも大丈夫らしいわ」
「そいつは良かった。ジャック、全てはお前の予定道理だ」
「それを聞いて安心した。……ん? 白銀君如何した」
「タケルちゃん?」
報告を聞いたジャックは顔を幾許か緩めるが武が顔を俯かせて何かを考えていた。
「え、ああ、いや…えっと、連中はこんな手を使ってきたけど今度はまた、どんな事を仕出かしてくるのかを考えていたら……」
「ふむ、この案には賛成出来ないと?」
「いえ、一応納得していますよ。それにこの計画は他の皆が余り戦わなくて済むんだから」
「それでタケルちゃんが死んだら意味無いけどね」
「うっせ、俺は死なねぇよ、俺達の邪魔をするならそれを排除するまでです」
武は拳を堅く握り締めながら決意した想いを胸に再び抱く。
武のその様に全員は苦笑しながらこれからの事を考える。
「まあ、当面は此処で好き勝手に派手に暴れて、更に世間様に俺達の事を認識させる。で、いいんだよな? ジャック」
「ああ、幸いにも此処は国連の基地だ。多くの国の人間が集まる。私達のあらゆる情報があっちこっちに分散し各地で更に我々への興味が出てくる」
「それでオルタネイティヴ5派の連中を燻り出すか……果たしてそう旨く行くかな」
「必ず旨く行く、彼等にとっては今でも我々の存在は目の上のタンコブなのだから、必ず彼等は我々を排除しようとする」
「そしてその時が奴等の最後か」
「ああ、向こうは我々を出し抜き、嵌めたと思うだろうが………」
「逆にこっちがそれを利用して、オルタネイティヴ5派を物理的に排除する…か」
「まあ、同じ人間を相手にして負ける気は起きんな」
「この話って夕呼先生は知っているんですか?」
「勿論博士も知っている。博士はこの案を聞いた時は嬉々として我々に協力すると申している」
「だが、まだ手が足りないな」
「ああ、だがその辺も問題無い。その為に彼に動いて貰っているからな、只出来れば日本帝国にも手を貸して貰いたいからいづれは白銀君辺りを帝国のトップとの会談をしてもらうよ」
「え!! 俺がですか!?」
「勿論君だけにじゃないさ」
深夜の格納庫に僅かなそして明るい笑い声が響き渡る。
「所でこの死体如何するんです?」
「まあ放置する訳にもいかんよな」
「後でレーザーブレードで死体諸共蒸発させればいいだろ」
後書き
第三章幕間終了
何やら彼等は危ない事を考えています。
彼等がしようとしているのは、所謂騙して悪いが~を逆手に取ったものです。
そして更にエドは何やら使いパッシリされています。
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