アフリカ国連軍エジプト第3基地
A-01が現地入りして、当基地から誰か来る筈が何故か一向に基地の責任者もしくはそれに順ずる人間が現れず彼等は呆然としていた。
「どういうことよ??」
「さあ」
草薙がそう問うと副官の浦松が返すが全員草薙と同じ気持ちだった。
と、そこへ慌てて一人の国連軍の軍服を着た黒人の男が走ってきた。
「で、出迎えるのが遅れてしまって申し訳ありませんッ!」
必死に謝罪する様を見せられたので彼等も一応不問としたが何故遅れたのか理由を尋ねると
「そ、それが…実は今、皆さんが来る二日前から基地の全部隊とレイヴンズネストとでシミュレータ上で模擬戦をしていたのです」
それを聞いたA-01の全員が納得した。
恐らく基地全体で祭り騒ぎなんだろうと思ったが、自体はそれの斜め上を行っていた。
「成る程、連中の実際の実力を知ろうと二日前に挑んだが連中に負けてしまって、そこであんた等が躍起になって挑んだが一向に勝てなくて今の状況に成ったと言うことか」
草薙がそう言うと目の前の男は信じがたいことを言い出した。
「い、いえ……そそ、それが…」
「? どうした?」
「それが、たった一人にやられて、今は此処の責任者のアーロン・バルドゥーイン中佐の部隊『サンダルホン』と戦闘中です」
『たった一人にッ!!』
「は、はい」
草薙はほんの少し思案すると
「よし、すまないがそこまで案内してくれないか」
「分かりました。此方です」
「全員行くぞ」
そのまま黒人の案内の下A-01はシミュレータルームに向かう。
第一シミュレータルーム
「此方です」
「ご苦労さん」
モニターに集中していた基地の人間はシミュレータルームに新たに現れたA-01を横目で見ただけで直にモニターに視線を戻した。
「うわー、張り詰めてますね」
孝之の言うとおり場は張り詰めていた。
「確かにな、あっ」
「どうした慎二?」
慎二の言葉に反応して孝之がその方向に目を向けると他の集団とは異彩を放った黒い作業着のようなものを着た集団が居た。
A-01の全員はその顔に覚えがあった。
横浜基地で行われた明星作戦の戦勝パーティーに居た集団。恐らくあれがレイヴンズネストなのだろう。
出入りの邪魔にならないように扉の前から移動して再びモニターに視線を向けると一機の白いACが高速で中隊規模の部隊に突撃した所だった。
アフリカ国連軍第三基地第九格納庫
ホワイトセラフの周りには沢山のケーブルやコードが延びておりそれらは格納庫内にある大型の端末に繋げられている。
そしてそのホワイトセラフのコクピット内で武は目を閉じて深呼吸しゆっくりと目を開き集中する。
モニターの向こうは一面に広がる砂漠地帯で障害物のようなものはぽつぽつ置いてある大小の岩と盛り上がっているか盛り下がっている砂山くらいだ。
『準備は万全だな』
相手の部隊長から通信が入りそれに返事を返す。
「はい、いつでもどうぞ」
『それでは始めよう』
開幕の狼煙は上がった。
[メインシステム戦闘モードを起動します]
「よっし、行くぜ!」
ブーストで一気に前進し相手部隊に接近する。
直にレーダに複数の機影が映る。
武は相手がこれまでの戦術機から察するにF-4EにF-5ETegerⅡやF-15C、F-15E、F-16ファイティング・ファルコンか或いはそれらを無理やり継ぎ足した継ぎ接ぎの機体がこれまで相手が使用していた戦術機だった。
その為今回もそうだろうと見ていた。
「これは…ちぃ、以外に速い。相手の機体は!? F-15Eの継ぎ接ぎのカスタマイズ機が2機にF-16が6機と何かよく分からん継ぎ接ぎが4機かッ」
アーロンはこれまでの経緯から短期決戦で勝負を付けようとNOEで接近し中距離の射程から36mmを放つ。
武は放たれる36mmを上空に飛び回避し相手にレーザーマシンガンを浴びせる。アーロン達はこれを読み直に回避し再び36mmを撃つ。
武は機体を左右に振り自由落下をしながら攻撃を回避する。そして地面に着地し突撃しようとするが足場である砂地が崩れバランスを崩す。
「うお、くっそ、足元がダメ、だったらッ上に行けばッー」
武は再度空中に飛び上がり上からナパームロケットを放つ、幾つかは腕や足、突撃砲に命中する。
『クッ、中佐、自分が突撃します』
『分かった、02チャージ! 06と08はカバー!』
『『『了解』』』
肘から下の右腕を無くしたF-15Eのカスタム機が戦突型多目的増加装甲(スパイクシールド)を構えて突撃してくる。更に2機のF-16がカバーとしてそれぞれ右手に突撃砲、左手にマチェットタイプの長刀を構えて突撃してくる。
「邪魔だーッ!」
『させませんよ!!』
若い青年の声と共に02のマーキングが付けられたF-15Eのカスタム機がフルスロットルで突撃してくる。武はそれをレーザーブレードで一撃の元に斬り捨てる。シールドを腕ごと斬られバランスを崩した相手に機体を巧みに操作して右足で蹴りを入れる。
『グアァァァッッ!!』
F-15Eはそのまま地面に激突する。
『02右腕部破損、左腕部破損、跳躍ユニット破損、頭部損傷、機関部に重大な損害有り、大破』
更に迫ってきた2機のF-16にレーザーマシンガンを浴びせる。一機は完全とはいかないが避けるがもう一機は跳躍ユニットに被弾し姿勢を崩した所を更に攻撃され大破判定を受ける。
そして回避したもう一機も目の前に現れたホワイトセラフを見てすぐさま引こうとするがホワイトセラフの左手に青白く煌くブレードがF-16の胴体を斬り裂く。
武はそのままエクステンションのエネルギー回復装置を起動しOBを発動する。
上空から強襲して来るホワイトセラフを迎撃しようと突撃砲を撃つがホワイトセラフはそれを悉く回避しインサイドのナパームロケットを撃つ。
それらは狙って撃ったのではなく適当に撃った為相手の足元位にしか命中せず空振るが、その衝撃で辺りの砂が弾け足元が不安定になりバランスを崩す。
武はそれを見逃さずレーザーマシンガンを放り、ZANGETUを抜く。
接近された各機は応戦しようとするがACの全高の低さも有り思うように攻撃できないでいた。
その為接近されて既に4機も落された。
『クッ、全機、弾幕を展開しつつ後退しろ!』
『了解』
「させるかよッ」
その言葉と共に残った者達は弾幕を展開しつつ後退するが武はOBで追撃する。
『速すぎるッ』
『クッソ、ダメだ対処しきれな……』
『おい05! チクショウなんて性能だ!!』
高速で接近するホワイトセラフを迎撃しようとするが左右に回り込まれたりして殆どの者達はなすすべが無かった。
圧倒的な力を持って武は隊長であるアーロン以外の戦術機を撃破した。
『化け物だな、君等は』
「一応言っときますが俺よりも強い人達が後6人は居ますよ」
『本当に化け物だな……だがッ、私にも意地がある。タダではやられんぞッ! 鴉よ!!』
そう宣言するとアーロンのF-15Eのカスタム機は36mmを撃ちながら接近する。
武もブーストを使い得意の三次元戦闘に持ち込む。
放たれる36mmを回避しながら武はZANGETUを納刀しレーザーマシンガンを拾う。
武がレーザマシンガンを拾うのを見たアーロンはフルスロットルで接近する。そして左背のパイロンからマチェットタイプの長刀を抜きホワイトセラフに斬りかかる。
武はそれを左手でZANGETUを逆手で抜き防御する。そして管制ユニット向けてレーザーマシンガンを撃つがアーロンは機体をずらし回避する。そしてお返しとばかりに武に36mmを撃つが直線に飛んでくる銃弾をZANGETUを銃口の位置に合わせて構える。
銃弾はものの見事に真っ二つなる。
『やるな!』
「そちらも!」
二機は再び接近してドッグファイトに持ち込む。
武は機体の特性を存分に使い相手を霍乱しようと機動戦を行い、アーロンは突撃砲を巧みに使い弾幕を張りながら機会を待つ。
埒が明かないと武は距離を離しOBを発動する。それを確認したアーロンは回避は不可能と見て突撃砲を撃ちながら左手の長刀を構える。
真正面に捕らえたホワイトセラフの猛スピードを目の辺りにしたアーロンはそれに恐怖するが長年の経験でそれらを跳ね除け対峙する。
『ぅ、まさしく白き閃光(ホワイトグリント)だな』
武はOB中にほんの少しブーストを吹かし機体の高度を上げ左手のブレードを振るう。
空中の相手に向かって近接戦闘をするのは並大抵の事では不可能だがACは空中でレーザーブレードを振るう時、相手との位置を瞬時に計算し補償する。
アーロンは目の前に迫った青い光り避け反撃する為、直にバックステップで回避するがブレードホーミングにより一閃され突撃砲と共に右腕と右足を失うが左手の長刀で突きを放とうとするが武はそのまま突進する。
『なにぃぃぃッッ!?』
「つうぅぉぉおおおお!!」
小さな図体であるがそのパワーは既存の戦術機以上でF-15Eはいとも容易く倒される。
『クッ、ッッ!?』
転倒した機体を直に起き上がらせようと眼前を見ると目の前にはレーザーマシンガンの銃口があった。
『見事だ』
「いえ、貴方もかなり手強かったですよ」
そして三日にも及ぶ模擬戦は終了した。
ちなみに全くの余談ではあるがその後レイヴンズネストで一番強いというゼロと基地内の三個中隊が戦ったら僅か十数分で勝負が付き、流石にこれはもうどういい訳も出来ないので皆笑って済ましてしまった。
後書き
第三章第六羽終了
今回は武ちゃんが頑張ってくれました。あと空中でのブレードホーミングをあんな感じで描写しましたが皆さん納得してくれましたでしょうか?
それと武ちゃんの二つ名が今回付きましたが何て言うか色々とごめんなさい。
出来上がった経緯は以前の掲示板でレイヴン達の二つ名を募集した時に武ちゃんは閃光(フラッシュ)てのを頂いたのですがその時何やら受信したらしく
閃光…白銀…ホワイトセラフ……(゜д゜)はっ! シルバーグリント! 否!! ホワイトグリントだ!!!
クッ、狙ったかホワイトグリント! てな感じです。
うん、後悔してはいるが反省はしていない。
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