明星・前編

 

作戦はフェイズ3に差し掛かり、大詰めに差し掛かった。

レイヴンズネストと呼ばれる部隊によって戦況は変わり、彼等に触発されて多くの部隊が善戦している。

だがそんな中、一つだけ進軍していない部隊がいた。

米軍オルタネイティヴ5派特殊部隊『エグザイル』

 

『ちッ、グレネードの弾が切れた、ヤツラまだ来るか』

「確かにこの数は幾らなんでも多すぎる」

『理由は分かるか、シロガネ』

「いえ、でも確か横浜ハイヴはフェイズ2クラスだったけど内部はフェイズ4クラスも有ったって記憶しています」

『我々の出現により歴史が変化しているのかもしれないな』

『その可能性が高いな…! ジャックッ!』

フォックスアイに一条のレーザーが迫る。それを左手に装備したレーザーシールドで防ぐ

『グッ、このシールドでもキツイか、なら一時的に武装に供給されるエネルギーを全て左手に廻せば』

その言葉が発せられると同時にレーザーシールドの出力が上がり、より強固な防御範囲を形成する。少ししてレーザーが止む。

「ジャックさんッ無事ですかッ」

『問題無い、幸いにもバズーカに引火していないが今の攻撃で左腕の調子が悪い』

『弾数も心もとないしそろそろ後退するべきか』

『聞こえるかレイヴンズネスト?』

突然の通信に全員がそちらに注意を向けると、そこには不知火の一団と一機のACが傍に来た。

『聞こえている。問題無い』

『アンタがジャック・Oか?』

『いや、私は指揮官のエヴァンジェだ』

『何? 確かレイヴンズネストのリーダはジャック・Oと言う人物だった筈だが』

『確かにレイヴンズネストのリーダはジャックだが、現場での指揮は私が執っている』

『了解した、此方は香月博士の直属の部隊のA-01・第四中隊フェニックスだ、博士の命によりレイヴンズネストに弾薬等の補給を用意した。場所は今から送るデータで確認して欲しい』

『了解した……全機確認したな、これより補給のため後退するぞ』

「『了解』」

A-01の名を聞き武の脳裏にはヴァルキリーズの面々の面影が過っていた。

 

「おかしい…」

『如何したケン?』

「おかしいと思わないか?」

二機連携の相棒で付き合いの長い仲間の浦松彰吾大尉に聞く

『何がだ?』

「何故BETAどもは俺達を狙わない、ヤツラの進路にはレイヴンズネストがいる、いや連中は彼等以外にも鳴海を優先的に狙ってきてる」

その事を聞き浦松大尉は理解する。

『まさかBETAはアーマード・コアを優先的に狙っているのか』

草薙少佐はその内容に即答する。

「ああ、BETAは確実にアーマード・コアを最優先の撃破対象にしている」

『確かにアーマード・コアの性能はとんでもないからな』

「だが同時に好機だッ、ヤツラがこっちに注意を向けない限り俺達が消耗するのは弾薬のみだ、今の話を聞いていたなッ鳴海、平ッ」

『『ハイ』』

二人はすぐさま返答して草薙少佐が何を言いたいのか代弁する。

『要は俺は逃げに徹すればいいんですね』

『で、俺の方は孝之のフォローに回ればいいわけですね』

「そうだ、他はケツを向けたBETA共に自分の好きなフルコースを振舞ってやれ!」

『了解』

作戦は佳境に入り、そして遂にその指令が入った。

『全部隊に通達する。これより15分後米軍が 新型兵器であるG弾を投下する。各戦線に展開している部隊は現在のポイントを維持しつつ時間までに離脱せよ』

!!??

その通信を聞いた全ての部隊が戦慄し激怒した。

『ふざんけんなよッ!!』

『なんで、このタイミングでッ』

孝之と慎二も烈火の如く怒る。だが無理も無い二人にとって横浜は故郷で、それを訳の分からん爆弾で消し飛ばそうと言うのだ、さらに現在の戦線を維持しつつ時間までに撤退しろと言うのだ、誰であれ怒り狂うのは当然である。

『ケン、どう思う?』

「確実に焦っているな、恐らく米軍は始めからそのG弾というのを使う心算だったんだろう、元々今回の作戦で米軍が派遣した部隊の規模は一連隊程と他に比べ少ない、だがそこで当初の予定に無いイレギュラーが発生した」

『レイヴンズネストか』

「ああ、当初はそのG弾を使って盛大にアピールとかをしたかったんだろうけど、それをレイヴンズネストが逆に派手に暴れちまって向こうさんの考えが外れてしまい、仕方なくプランを早めった、てところだな」

『それでどうする』

『流石にこの状況じゃあな』

二人の会話に加わって来たのはフェニックスのC小隊隊長で草薙賢吾と浦松彰吾と同じ長い付き合いのある木村仁志大尉とB小隊隊長で突撃前衛長の牛尾直哉大尉で彼はこの三人の中では一番付き合いが浅いがそれでも長い間苦楽を共にしてきた中である。

本来大尉階級の人間が同隊に三人もいれば別の場所に配属されるのだが、A-01はそもそも機密部隊でヴァルキリーズは代々女性のみの部隊で新しく作ろうにも人数が居ない、何よりも彼等は長い間共に戦ってきた為、今更他に行こうとは考えていない。

その事を理解している香月博士はその意思を酌み彼等を同じ隊にしている。

「撤退するぞ」

『『『了解』』』

三人は即座に返答するが、孝之と慎二の二人は

『なッ、少佐本気ですか!!』

『こんなことを認めるのですかッ!』

草薙少佐は溜息を吐くが同時に仕方が無いとも思う。

二人はこの町の出身だし先程のレイヴンズネストのお陰で士気が最高潮に達している、だが二人はこの作戦が初陣で戦場というものを知らない、だからこそこんな所で死なせるわけには行かない。

「ショウ、鳴海を俺とお前で引張って行くぞ、キムとナオは平を頼む」

『解った/あいよ/しゃあねぇな』

三人は渋々といった感じだが心内は草薙少佐と同じである。

『『少佐ッ!』』

二人の言葉は虚しく宙をよぎる。

だが…

強烈な振動が戦場一帯に響く

「なんだッ?」

『地下からBETAの反応ッ、だが…これは……』

木村大尉がすぐさま調べるが、その声は震えている。

「どうしたッ!」

『なんだ…この大きさは、要塞級の倍以上はあるぞ!!』

「『!!??』」

その内容に全員が戦慄した。

 

「どうなってんのよッ」

香月博士が怒鳴り散らす。

もはや滅茶苦茶だった。流石の彼女もすでに冷静で入られなくなっていた。

米軍からの突然のG弾の申告、しかも作戦の当初から事前に準備していていつでも落とせるという。そして更には今起きている謎の地震、直に調べた結果、BETAの反応だが、その大きさが尋常じゃない。

そして遂にソレが現れた。

まるで削岩機のような未確認のBETA、だがその最大の特徴はその巨大さにある。

その胴体直径は170mを超え全長は悠に200メートルを余裕で超えていた。

「あんなのがいたなんて…」

涼宮少尉の声が全員の気持ちを代弁している。

もはや戦場はレイヴン達の登場以上に混沌としていた。

だが、その未確認種のBETAを複数の光線が襲う。

「まさか! ピアティフッ、涼宮ッ」

香月博士の声に二人は反応する。

「今すぐに彼等に通信を繋ぎなさい!」

「了解ッ! ……繋がりましたッ」

「貸しなさい!」

通信機を掴み、彼等に話しかける。

もはやこの現状を如何にかできるのは彼等しか居ない。

この最悪な状況を覆すには……

 

 

 

 後書き

第二章第五羽終了

長くなりそうなので前・後編に分けました。

オリキャラが数人登場、そして今回の見所の一つ

遂に現れた未確認大型種のBETA、レイヴン達は残り十数分という絶望的な状況でどのような行動にでるのか、後編に期待してください。

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