開戦

 

8月15日8時57分

横浜湾海上の沖合いには帝国軍艦隊と国連軍太平洋艦隊、大東亜連合海上艦隊、米海軍太平洋艦隊が終結していた。

さらに、宇宙では国連宇宙総軍の軌道爆撃艦隊が、軌道を周回しつつ作戦開始に備えていた。

9時00分

「5・4・3・2・1・カウント0、これより明星作戦を開始」

「AL弾発射ッ」

「国連軌道爆撃艦隊の方も爆撃を開始ッ」

「光線級、AL弾迎撃を開始、AL弾迎撃率40%ッ、なおも上昇中ッ」

軌道爆撃艦隊による軌道爆撃を皮切りに明星作戦が開始された。 国連軌道爆撃艦隊からの軌道爆撃に対する、BETAの1次迎撃によって、AL弾が気化し重金属雲が発生した。

それを契機に各海上の艦隊も長距離飽和砲撃を開始。

「陸上でも戦車隊の砲撃により重金属雲濃度なおも上昇中」

それを聞いた今作戦の全指揮を執るパウル・ラダビノット准将

「よし、これよりフェイズ2に以降、艦隊に搭載している各戦術機部隊は順次発進、陸上で待機している部隊は攻撃を開始」

フェイズ2の以降と共に各戦術機母艦からは順次戦術機が発進する。

 

斯衛軍第一・第二・第三・第四・第五大隊

「全機ッ抜刀!」

野太い声と共に様々にカラーリングされた戦術機群の一団は長刀を構える。

斯衛軍の戦術機は撃震を斯衛軍用に改良した瑞鶴と陽炎、不知火、そして先行試作機『Type-00』数機。

斯衛の戦術機と衛士はそれぞれ冠位十二階級よって色が違い、青は五摂家、赤は五摂家に近い有力武家、黄は有力武家、白は武家、黒は一般と分けられている。

そして、その中でも一番異質な戦術機が居た。

その機体は赤の瑞鶴だが、他の瑞鶴に比べ四肢が異常に改良され大型化されている。

なによりその手には巨大な長刀が握られている。

この瑞鶴の衛士は斯衛軍一の実力者でBETA大戦初期から活躍し目覚しい功績を挙げてきた剛の者

その名は紅蓮醍三郎、階級は大将だが常に前線に立ち将軍の為に戦ってきた兵士で世界でも十指に入るほどの実力者である。

彼の瑞鶴は特別仕様で瑞鶴を授けられてから様々な戦線で戦い、その度に強化改修が施され、今やその性能だけでも第三世代機に匹敵する程だ。

そしてその手に持つ大型の長刀の名は『斬馬刀』

大きさは戦術機と同じで厚さも陽炎の胴体程もある。材質は要撃級と突撃級の甲殻と金剛石を使用。

その為に今やこの機体はワンオフであるため個別の名が付けられている。

その名も『明王』と…

『紅蓮大将、各部隊問題ありません』

『第二から第五大隊の方もいつでもいいようです。師よ号令を』

「結構では……」

部下であり弟子の斉御司剛と斑鳩刃の報告を聞き一度大きく深呼吸し目を瞑る…そして

「全軍ッ、出陣!!」

『承知ッ』

斯衛軍全機はBETAを呑みつくさんと一斉に突撃する。

それは戦国合戦の武者達を思い起こさせる程。

突撃級の一団を回避して一部は反転、後ろを見せている突撃級に36mmを浴びせる。

先頭にいる紅蓮は一人要撃級と戦車級の群れに飛び込む、そしてその手に持つ大型の長刀・斬馬刀を両手で構え横に振る。

その圧倒的な破壊力は多くのBETAを巻き込み叩き潰す。

と、そこへ36mmと120mm砲弾が紅蓮の横を掛け抜け複数の要撃級に突き刺さる。

『紅蓮大将いくら二機連携相手が居ないからって突出しすぎです』

「仕方なかろう、わしに付いてこられる者が居ないのだから」

『ですが師よ少しは御自重ください』

「なに、一応この隊でわしに付いてこれるのは主等だけであろう、ならば主等がわしのカバーをすればいい」

そう言いながら紅蓮は弟子達の忠告を無視して背部パイロンから2丁の突撃砲を前面に展開してBETAを薙ぎ払う。そして再び斬馬刀を構え突撃する。

『……一応ですか、相も変わらず厳しいですな』

『だが事実、我等は師から見ればまだまだ青二才なのだろう、だからこそこの戦を制し少しでも師に近づく!』

『当然だッ』

剛と刃も長刀と突撃砲を構えてBETAの波に立ち向かう。

 

「全機準備はいいな」

『ハイ』

「よし、では行くぞ」

十機の不知火と草薙少佐の不知火・壱型丙と孝之のAC・エタニティが戦術機母艦から発進する。

そのまま中央戦線に行き他の部隊と合流する。

「やはりハイヴ攻略戦となるとバカみたいに居るな…だがっ、鳴海ッ荷電粒子砲準備」

『あれがBETA…』

「おい鳴海、ちぃっ、ヤッパリか、平ーッ、クッソがお前もか」

声を掛けるが孝之と慎二の返事は無い、

無理も無い彼等はシミュレータでBETAと交戦したことはあるが実戦はまだなのである。

初めて見るBETAの前に恐怖が湧き上がっている。

「鳴海孝之少尉ッ、平慎二少尉ッ」

『『!!』』

草薙少佐の一喝でなんとか意識を戦場に呼び戻す。

「言いか良く聞け、今この部隊の攻撃の基点は鳴海、貴様だ、貴様が攻撃をしなければ他の俺達が攻撃ができない、そして平、貴様は鳴海のフォローと連携の相棒だいつも道理に飄々とこなせッ、いいかヘタレるなら戦場じゃなくてプライベートの時にヘタレろ、貴様等は何の為に衛士になった? 何の為に戦っている? いいかっ恐怖などに呑まれるな逆に呑み込めッ、人にはそれができるのだからな、今一度自身の戦う理由を思い起こせ!」

『少佐……解りました。恐怖を逆に呑み込んで見せます』

『はい、恐怖に屈しません』

二人は正直感銘を受けていた。

いつもどこかふざけていたあの少佐にこのような事を聞くとは思っても見なかった。

「よし、では鳴海少尉ッ貴様の役目は何だッ」

『はいッこの部隊の攻撃の基点となることです』

「平慎二少尉ッ貴様の役目は何だッ」

『はいっ鳴海少尉の援護です』

「そうだ、貴様等はまだヒヨッコだ、難しく考えるな他の仲間に気に掛けるのなら自分とその相棒を気に掛けろッ」

『『了解』』

「では鳴海、荷電粒子砲のスタンバイだ」

『了解』

その返事と共にエタニティはプラズマキャノンを発射する為構えを取る。

プラズマキャノンの砲身がスライドし砲身部に紫電が滞留する。

『前方のBETA群をロック、少佐いつでも行けますッ』

「よし、チャージングするまで盛大に撃てーーー!」

その言葉と共にエタニティの左肩の砲身から青白い光球が発射される。

そしてBETAに命中、爆発しその熱で他のBETAをも巻き込む、そしてすぐにまた別の弾が飛んでくる。

『すごい、こっちに向かってくる突撃級がバタバタ倒れていく』

「全員ボッケとするなッ、B小隊は突撃、C小隊はB小隊の援護、A小隊は各小隊のカバー」

その言葉が発せられると同時に攻撃が止む

『少佐ッチャージングに入りました。暫くは撃てません』

「予定道理だ、平はそのまま鳴海の援護に回れ、鳴海はエネルギーの回復が次第再び攻撃を開始、もし接近された時はA小隊と合流しろ、いいか決して無理はするな」

『了解』

中隊全員の言葉と共にB小隊が先行しC小隊が後方に続く

そして今の攻撃を見た各国の部隊が続いて攻撃を開始

 

帝国軍最新鋭艦最上

「今のところは各戦線ともに順調ですわね」

香月博士の言葉に日本帝国海軍艦隊提督で最上の艦長である小沢提督は

「確かにそうですな香月博士、しかし博士の直属の部隊、確かフェニックスでしたかな、あの部隊にある特殊な戦術機の力は素晴らしいですな、無論部隊自体の錬度も素晴らしい」

「ありがとうございます。あの機体は必ずこの大戦の大きな転機を起こします」

だが彼女は内心複雑だった。

確かにアーマード・コアの力は凄まじいの一言に尽きる。現在は有澤重工で量産機と各パーツの開発が進行している。

だが何故彼等は来ない?

臆したか?いやそれは無い、彼等は恐らくそんなことを感じることは無いだろう。

聞けば彼等はこの一年間、九州で暴れていたらしい、帝国軍でも謎の部隊が九州で暴れているという情報は入ってきているようだ。

今では帝国軍から存在は確認できるのに決してその姿を見せないことから『幻影』や『幽霊』とまで呼ばれている。

「!? …これはッ、高速で何かが接近中ッまもなくこの戦線に到達します!」

!!

来た。

なんと憎い演出、絶対彼等でしかない、白銀武と共に来たあの男を思い出す。

あの男ならやるはず、口が上に吊上がり笑みを浮かべる。

「これは…接近中のものから通信が」

「貸しなさいッ」

オペレータから通信機を引っ手繰る。

『お久しぶりです香月博士、依頼どうり来ました』

やっぱりこの男か、ジャック・O、そんな名前だったはず。

「随分と遅刻ね、言い訳は?」

『遅れたことにはお詫びしよう』

「ふん、まあいいわ、早速だけど貴方達には中央戦線に向かってもらうわ」

『了解』

「それと、そっちのコールサインは?」

『……レイヴンで頼む』

「レイヴンね解ったわ」

『ああ、香月博士』

「なに?」

『これから指示された中央戦線に向かうのが、戦術機部隊は下がらせてくれないか』

「どお言うこと」

『なに、我々のお披露目にちょっとしたデモンストレーションを一つ』

「ッ、ピアティフ、涼宮ッ、至急中央戦線にいる全部隊を下がらせなさい!」

「「了解」」

二人はすぐさま中央戦線に居る全部隊に後退を命じる。

「香月博士、今のは?」

「私が雇った傭兵です。何をするのか解りませんが」

 

『後退? 紅蓮大将これは…』

「むう、いささか不明慮だがHQの指示では仕方ない、全部隊一旦後退する!」

『承知』

行き成りの後退指令に全部隊困惑するが紅蓮の一言によりすぐさま後退する。

 

「後退指令? 一体何が?」

『解らん、だが何か有る筈だ、此処は一旦HQの指示どうり後退するぞ』

『了解』

するとレーザの照射警報が鳴る。

『なッレーザーに狙われたッ』

『ちぃ、全機! 乱数回避でもいいから避けろッ』

だがレーザはあらぬ方向に撃たれる。

「えっ上に?」

『どういうことだ…』

よく見るとレーザーは何かの前にかき消されていた。

『なんだか知らんが今の内に後退するぞ、その後は各自補給』

『了解』

 

作戦領域前

『今ジャックが向こうと話し合っている』

『それでどうするのだ?』

『プランはもう考えてある。まずゼロ、お前が先行しろ』

「どうしてだ?」

『お前の機体にはカイルスフィールドが装備されている。レーザーを無力化するのには効率がいいしその間に私達が接近し攻撃、お前はその攻撃に紛れ込ませてソレを撃て』

「了解ッ」

ゼロは口に笑みを浮かべて更に上空に飛び上がる。

『これで私達がレーザーの危険に晒されることは少なくなった』

『ああ、エヴァンジェ、君の判断は見事だ、これより我々は中央戦線に向かう』

「『『『『『了解』』』』』」

『全機、データリンクを行う』

オラクルの右肩の高性能レーダが全機とリンクし情報が共有される。

『確認しました』

『ルシフェル光線級の攻撃を受けています。ダメージはほぼ軽微』

 

ルシフェルを高高度まで上昇させたゼロはカイルスフィールドを発生させる。

「カイルスフィールド発動」

ディスプレイにはKAILSの文字が出てくる。

カイルスフィールド発動中は攻撃やブースターを使うことはできないがその代わりACに最高の防御力を与える。

「グッ」

『ゼロもう少しよ、持ち堪えて』

「ああ」

幾らカイルスフィールドでも複数の光線級のレーザーを受けきれない、だが現在戦場には重金属雲が発生している。

『ゼロッ、光線級の攻撃が止んだ攻撃に入る』

「了解」

 

『ロックする必要は無い、遠慮無く撃ちまくれ!』

エヴァンジェの合図と共に各機から大量のミサイルが撃ち出される。その数100以上

放たれたミサイルは大量のBETAを巻き込む、そして上空からルシフェルが降下してきてミサイルを放つ、その数32

だがその32のミサイルは…

32発のミサイルが着弾

その瞬間あたり一面に巨大な破壊の力を振るう。

ゼロが撃ったのはACの中でも三大凶兵器の一つ超大型ミサイル、通称・核ミサイル(ちなみに残りの二つはフェイトのアラエルが装備する両肩のハイ・レーザーキャノン、通称・主砲と今は誰も装備していないが右腕武器の射突型ブレード、通称・パイルバンカー)

そのまま全機は跳躍ユニットと各種ミサイルをパージして轟音を立てながら大地に着地する。

「横浜よッ俺は帰ってきたー!」

『なに言ってんのよタケルちゃん』

「いや、なんか無性に言いたくなってな」

今の武のテンションは絶好調である。

『流石に幾ら鴉が雑食でもこれだけ居たら幾らなんでも飽食するな』

『なら、食べやすいように焼くか?勿論ウエルダンだが』

「それって炭じゃないんですか?」

『なら、BETAの刺身はどうだ?』

『あれだけの数を調理するのはキツイな』

『結局の所だ、どう調理するかは各自のお任せと言うことだな』

余りのBETAの数に全員テンションは高くなる。

『それでは諸君、我々レイヴンズネストのお披露目だ、派手に行こう』

「『『『『『了解』』』』』」

全機が構える。

そして武のホワイトセラフとゼロのルシフェルがOBを起動しBETAに突撃する。少し遅れてジナイーダのファシネイターも追従する。

『遅れるなとは言わん、しっかり付いて来い』

『シロガネ付いてこいよッ』

「もちろんッ」

アーマード・コア

彼等レイヴンが存在した世界ではACが一機現れるだけで戦況が変わると言われるほどの存在、では七機も現れれば如何だろうか?

今、七人のレイヴン達の力が振るわれる。

 

 

 

後書き

第二章第三羽終了

いよいよ始まった明星作戦、今回はいつもより長めです。

またオリキャラが数名出てきましたしオリジナルの戦術機と兵器も出てきました。

瑞鶴は出そうと前々から思っていましたし、紅蓮大将をだすならこういった素敵性能を持った戦術機が出てもいいかなって思いました。

そしてレイヴン達は行き成りのミサイルカーニバルです。

ちなみに三大凶兵器なんて書いていますが、別にゲーム中で尤も威力の高い武器の事を言っているだけです。完璧に作者の捏造です。

でも実際ゲームで一人プレイや対戦でもその三つの内のどれかでも装備していたら怖いですよね、ああいうのは持っているだけでもプレッシャーになりますから。

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